壊れゆく女の園ー「共同幻想」をみよ
「祈り とは何なのか?」を、猟奇性を交え、繊細な身体観で描く。まるで、洞窟に住むコウモリが、自らの羽根を岩場にバタバタ当てる空間的狭さだった。幾度となく〈血〉を流しながら、エロチシズムともいえない、 〈強烈すぎる現実〉を提示する女性たち…。不気味さとともに。
※バレてないネタバレへ
私は、パンフレットを読まない主義だ。観劇後、詳しく挨拶文等を読むことはあっても、「これは○○の考えで書いた作品です」といった説明は本来、それぞれの観客が抱くべき権利だから、先入観は植え付けられたくないのだ。
ただ、今回はパンフレットを事前に読み、110分間 観劇している。主宰の三輪明羅氏は、「この稽古期間中、何度もお祈りをしました。良い役者が集まりますように、稽古場がちゃんと取れますように、皆が怪我をしませんように、お客さんがいっばい入りますように。物心つく前から今までの人生で、数えきれないくらいお祈りをしてきました」らしい。こうした立場を表明しておきながら、冒頭から「女性同士のキスシーン」を設けている。脱帽してしまった。
結局のところ、〈共同幻想〉で壊れゆく女性の姿を描いた作品だろう。劇団旗揚げ公演より、桜美林大学や日本大学のパフォーマンス公演に近しい印象であったが、哲学めいた台詞は確か だ。