犯行予告 公演情報 劇団肋骨蜜柑同好会「犯行予告」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    良く練られたシナリオ
     ヒトはマトリョウシュカのように入れ子構造になっている。そんな哲学を持つ怪盗キースは、神田川専任警部が追う謎だ。(追記2014.1.2)

    ネタバレBOX

     必ず犯行予告を出すのだが、狙う物が何なのか、皆目見当がつかない。被害者にとって一番大切な物を盗むという特徴があり、決して殺しなどの手荒な真似はしない。いささかダンディーな怪盗である。被害者も大人とは限らない。女の子のキャンディーをごっそり盗んだこともある。ところで、今回狙われたのは、資産家の石倉 金蔵。彼の持つ高価な宝石がターゲットと一応考えられるのだが、確実にそうだとは言い切れない。何せ犯行予告をして来たのはキースなのである。
     一方、編集者の御手洗は校正に追われて徹夜態勢だが疲れて居眠りをしている。が終電を逃したという同じ社の山田に起こされる。彼女はタクシーで帰宅するつもりだったのだが、経費で落ちない、と言われ社に泊まることにする。徒然に御手洗と尻取をしたり、去年御手洗が嵌っていた怪盗キースに思いを致したりして夜を明かすが、舞台そのものが、この編集部の演じられる場面を外側としその内側に犯罪現場が設定してある。それも単に、犯罪エリアを示す床に画かれた境界線によって。2次元で示されたこの境界は、役者陣の演技によって見事に演じ分けられ3次元として機能するのだが、この辺り、実に上手い。というのも物語自体、入れ子細工になっているからである。
     犯罪現場に登場する人物は4人。石倉 金蔵と息子の琢己、宝石のガードをしている黒澤、そして神田川警部である。警部はキースは必ず来ると確信しており、既に4人のうちの誰かに化けて忍び込んでいると考えた為、4人全員が現場で夜を明かすことを提案するが、手洗いなどのこともあり、2人ずつが必ず現場に残るという形でシフトは息子が組んだ。
     だが、犯罪は実行された。大切な物は盗まれたのである。それも、各々が仮面をつけて生活を送りながらも密かに、人によっては自分がそうと気付きもせずに大切にしていたものが盗まれていた。更に、最後のドンデンでは、盗品は、犯罪場面を描いていた舞台にではなく、編集部に置かれている。入れ子構造そのままに。

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    2013/12/22 01:34

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