リーディング・フェスタ2013 戯曲に乾杯! 公演情報 日本劇作家協会「リーディング・フェスタ2013 戯曲に乾杯!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    『フローズンビーチ』リーディングだから見えるもの

    ナイロン100℃での初演と再演を観ていて、
    大好きな戯曲でもあるのですが、
    それだけではなく、今回は出演される方が漏れなく魅力的で、
    そちらも楽しみに観にいきました。

    で、観終わって、初演当時の舞台の記憶としてのこっているものが、
    戯曲の筋書きよりも、むしろ戯曲を通じてあふれ出した
    ロールたちの個性であることに思い当たる。
    一方で、リーディングだからこそくっきりと浮かび上がる
    戯曲の骨組みの秀逸もあって。
    さらには、役者達のライブ感をもった舞台の刹那にも
    しっかりと捉われて。

    幾重にも面白い、舞台でありました

    ネタバレBOX

    事前に出演者の方のブログなども読ませていただいて、
    全員での稽古の時間などがほとんどなく、
    要はぶっつけ本番であることは知っていたのですが、
    だからこそ生まれる面白さがあることにまでは
    思いが及びませんでした。

    舞台初演のときに使用された画像なども使われたり、
    場の間には音楽も同じものが使われたりして
    懐かしくもありつつ、
    役者達からやってくる台詞の、
    クリアさと、色の醸し方と、間の秀逸と、
    なによりも、読むというより、台詞が編み上げる空気のビビッドさに
    ぐいぐいと惹かれていく。
    冒頭こそ、ただ言葉の意味を受け取っている感じがありましたが、
    やがて、舞台に紡がれる台詞に生まれるビビッドな肌触りに
    取り込まれていきます。

    でも、それは、私が初演などで感じたものとはことなった、
    戯曲の骨組みを削ぎだしてもいて。
    その面白さにぐいぐい惹かれつつ、
    初演の舞台では、戯曲そのものよりも、
    戯曲自体の魅力を凌駕する
    たっぷりと時間をかけて役者達が作りこんだ
    ロールや場の空気の熟し方にとりこまれていたことにも気づく。
    もう10年以上もまえに舞台を観たときには理解できなかった
    この戯曲が大きな賞を取った理由が、
    実感としてわかったような気がしました。

    まあ、常軌を逸するほどにコストパフォーマンスの高い舞台でもありまして
    にもかかわらず、場内には空席がけっこう目立っていて、
    もったいないことこの上ありませんでした。

    PS:終演後の『劇作家DJ部、選曲を考えるひととき』、
    企画の意図はわかったし、面白い部分もあったのですが
    なにか時間に追われて、意図やそのための仕込みが
    うまく展開できなかった部分も見受けられたのが
    残念にも思えたことでした。

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    2013/12/18 17:09

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