満足度★★★★
人生哲学書を読む趣きでした
何も事前情報を知らずに観劇したので、意外な印象でした。
のだめの高校版的な、音楽学校青春ストーリーを想像していましたが、もっとシビアで、やや胸に痛いストーリー展開でした。
「若きウエルテルの悩み」とか「初恋」とか、「車輪の下」とか、柔らかバージョンの「罪と罰」風と言うか…。とにかく、青春時代に読み漁った、海外青春小説の雰囲気が漂う、かなり深い内容のミュージカルでした。
育三郎さんが、童顔なので、高校生役が無理なく観られ、まさに適任でした。
田中麗奈さんのピアノ教師は、同性の私から観ても、大変魅惑的で、男子生徒がときめくのも無理ないと思える好配役。青春の痛みを語る、主人公の壮年期を演じる福井さんも、相変わらず、こういう役柄では光ります。
後半、重要な人物になる、倫社教師の加藤さんは、授業シーンなどに、リアルな存在感があったのですが、1幕でマイクの調子が悪く、何度も雑音を生じてしまったのは残念でした。枝里子の母役の木の実さん、サトルの祖父役の小野さんなど、脇役も、大変贅沢な布陣で、ドラマに厚みを持たせました。
オーケストラの見せ方にも工夫があり、想像したより、遥かに見応え充分な舞台でした。