交響劇「船に乗れ!」 公演情報 交響劇「船に乗れ!」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 満足度★★★

    オーケストラと共に描く苦い青春
    オーケストラをステージ上に乗せて、役者と二重写しで描く独特な演出が新鮮なミュージカルで、普通の学園モノに比べてシリアスな内容で3時間近くある作品でしたが楽しめました。

    ニーチェを愛読しチェロを弾く、恵まれた環境に育った少年が音楽高校に入ってから次第に挫折を味わい、人生や音楽について悩む物語で、チェロを弾く事を止めてしまい平凡な40代になってしまった主人公が高校時代を回想する形で進行しました。

    真っ黒な空間に白いスロープが交差し、奥には軽く湾曲した白い壁、床面の大半はオーケストラが占め、役者は手前のスペースとスロープ上を使う形で、視覚的に少々狭苦しさを感じました。

    歌う場面は、主旋律に歌詞を乗せたものと、原曲にはない旋律を新たに加えたものがあり、曲によっては同時に何声もが同時進行し歌詞が分からなくなるものの、モーツァルトのオペラの重唱シーンの様な高揚感がありました。
    登場人物を演じる役者と、その役が演奏する楽器を実際に演奏する奏者が対応付け(性別や服装も合わせていました)、出捌けも同じタイミングで行う演出となっていて、様々な感情を立体的に描いていて良かったです。

    後方の壁に大きく映し出される場所を示す為の画像(写真を版画の様な感じな白黒に処理したもの)が美しくなく、しかも説明過多に感じられ、時期と場所を字幕で出すだけでも十分な気がしました。

    主人公の現在と高校生時代をそれぞれ演じた福井晶一さん、山崎育三郎さんは演技も歌も充実していて素晴らしかったです。ベテラン勢が要所を締めていてメリハリのある流れになっていました。

  • 満足度★★★★★

    豪華メンバー
    前のかたが書いているように、力のある役者さんは存在感もありとてもよかったです。
    舞台のセットをもうすこし豪華にしてくれたらなーと思いました。

  • 満足度★★★★★

    文学劇とかと勝手に読んでいた人もいた(^^)
    まぁそれはおいといて~

    出来は良かったー(^。^)
    客席は女性が多く年齢層も高めでありました

    話は平坦な学生モノと思いきや、
    (まぁ音楽学校の生徒=普通科とはやはり異なるんですが)
    なかなか展開が驚かされること多くて、
    80分→休憩20分→80分であるにもかかわらず。
    あっという間に経過して、終演後に劇場出た時間に驚かされました。
    (こんなに遅くなるとは~と思ったデスのよ)

  • 満足度★★★★

    人生哲学書を読む趣きでした
    何も事前情報を知らずに観劇したので、意外な印象でした。

    のだめの高校版的な、音楽学校青春ストーリーを想像していましたが、もっとシビアで、やや胸に痛いストーリー展開でした。

    「若きウエルテルの悩み」とか「初恋」とか、「車輪の下」とか、柔らかバージョンの「罪と罰」風と言うか…。とにかく、青春時代に読み漁った、海外青春小説の雰囲気が漂う、かなり深い内容のミュージカルでした。

    育三郎さんが、童顔なので、高校生役が無理なく観られ、まさに適任でした。

    田中麗奈さんのピアノ教師は、同性の私から観ても、大変魅惑的で、男子生徒がときめくのも無理ないと思える好配役。青春の痛みを語る、主人公の壮年期を演じる福井さんも、相変わらず、こういう役柄では光ります。
    後半、重要な人物になる、倫社教師の加藤さんは、授業シーンなどに、リアルな存在感があったのですが、1幕でマイクの調子が悪く、何度も雑音を生じてしまったのは残念でした。枝里子の母役の木の実さん、サトルの祖父役の小野さんなど、脇役も、大変贅沢な布陣で、ドラマに厚みを持たせました。

    オーケストラの見せ方にも工夫があり、想像したより、遥かに見応え充分な舞台でした。

    ネタバレBOX

    タイトルが、ニーチェの著作から引用したとは、全く知りませんでした。

    サトルの無意識の悪意によって、学校を辞めさせられることになる倫社教師が、最後にサトルに読み聞かせる詩のような文章が、ニーチェの書いた「船に乗れ!」という言葉から始まるのだと知って、予想と全く違う展開に、驚いてしまいました。

    恋愛感情を抱いていた枝里子を、自分のドイツ留学中に、妊娠させた男性に対して、サトルが抱く殺意。彼は、倫社教師の金窪に、授業中、「何故人間はヒトを殺してはいけないのですか?」と質問します。
    その質問に、丁寧に応えようと努める金窪。二人の問答は、同じ教室で授業を聴いていた生徒全員にも、哲学的な疑問を突き付けて、皆も真剣に受け止めます。ですが、気持ちが揺れていたサトルは、自分の才能を買っている音楽教師に「どうしたの?」と聞かれ、思わず、さっきの授業で、金窪に言われた言葉の一部だけを、事情説明なしに話してしまいます。

    これがきっかけで、音楽教師は、生徒には秘密裡に、倫社教師の金窪を裁断し、、彼は、問責辞任に追い込まれてしまいます。

    もし生徒達が、このことを知らされていたら、事実とは違うと、金窪を庇うことも可能だったのに…。

    まさに、これからの日本の未来を予見したかのような内容の深い話に、暗然とする思いがありました。

    チェロやビオラやバイオリンなどの楽器を弾くシーンで、無理に役者が弾いているように見せることなく、舞台の後方で、実際の演奏者を見せたのは、変に小細工をせず、大変好感の持てる演出だったと思いました。

    宮川さんの作られた曲は、難度が高く、皆さん、歌いこなすのが大変そうでしたが、どなたも懸命に歌っていて、感心しました。

    サトルの高校時代と、壮年期を、二人の役者さんが演じ分ける手法は、「スタンドバイミー」のようでもありました。

    後で、知ったことですが、この物語は、原作者の実話に基づくストーリーだそうで、それを知って観ていたら、もっと違った感想になったのかもしれませんが、舞台を観ていた段階では、よく練られたストーリーだという印象でした。

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