韓国新人劇作家シリーズ第二弾 公演情報 モズ企画「韓国新人劇作家シリーズ第二弾」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    変身(三作目)
     韓国もTPP参加の報があったが、IMFに食い物にされたり、厳しい経済状況の中でも対中、対北を睨んでの政治・軍事状況が生活に影響を与える中で、未だ分断されたままの民族が負う厳しい現実を、先ずは見ておく必要があろう。

    ネタバレBOX

     そして、そのつけを払わされるのが、最も弱い層で在る事実も看過すべきではない。今作で何度も出てくる「真面目で正直な者が、変身する」という行き場のない鬱屈が、女性作家によって表現され、女性演出家によって演出されているのも偶然ではあるまい。
     つまり“変身”は、努力しても報われることの無い、真面目な庶民の逃亡願望の喩なのだ。参考までに言っておくと、ノーム・チョムスキーも指摘している通り、IMFの実体は、アメリカ財務省の出先機関そのものだし、世銀にしても、多くの良心的識者の指摘する通りIMFと協同で欧米の利益拡大の為に動いていることは、これまた常識である。その時、弱い立場に置かれる者こそ、紛争を抱える現場の民衆なのであるから、逃げ出したくなるのは当然だろう。力の無い、真面目な庶民に他のどんな方法があるというのか? 自殺以外に。その自殺も宗教的に禁じられている場合には、今作で表されているような形以外にどんな方法があり得るというのだろうか? まして、韓国の場合、現在の日本より遥かに体面を重んじる社会であるならば、今作のように不条理演劇として表現するのが、最も合理的な表現手段と言えるのではあるまいか?

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    2013/12/01 11:25

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