東京ノート 公演情報 劇団俳協「東京ノート」の観てきた!クチコミとコメント

  • フェルメールの「光と陰」を演劇的に試みる粋


    美術館の休憩スペースを舞台に、「名もなき人々」が織り出す会話劇。〈コの字〉型の客席は、上部か、側面か、下部の線かで 全く違った風景だろう。側面だと「対話する役者」を観察できる。一方、上部もしくは下部だと、概ね「対話者としての役者」だ。観る角度次第で、各々が違った感想を持つはず。特に上部か下部の線に座る観客であれば、後ろ姿を観察するわけにもいかず、対話者の「レスポンス」を注視してしまう。そして、周りの美術館客の影響さえ受ける「レスポンス」が、「繋がりとは何ぞや」を想起させてくれた2時間…。

    日本の美術館は、料金が高い。特別展なら「千円」を超え、パリ市民における「休日の憩いの場」とはいかない。第一、映画館すら「1800円」の価格設定が効いてしまい、一人当たりの映画鑑賞数は「年間一本未満」の状況だ。それでも、TOHOシネマズやワーナーマイカルシネマズ等が中心となり、「デジタル化上映」(DCP)「シネマコンプレックス」他、「映画の日」「サービスデイ」「レディースデイ」「高校生友情割引」などを設け、ユーザーの獲得に力を入れている。
    美術館に同じキャンペーンができない理由は、学割(こども料金)が安価だからだろう。映画館の場合、大人正規料金1800円に対し、こども(中学生以下)正規料金は1300円。両方の価格差を比べると約30パーセント。ご利用された方は お分かりと思うが、美術館の場合、50〜80パーセントである。しかも、都民の日や文化の日といった祝日になれば、無料開放デイを設ける必要も出てくる。(多少の予算が計上されたとしても)美術館の財務体力にダメージを与える状況なのだ。

    やはり、学割(こども料金)を映画館、アミューズメントパーク並に引き上げ、収入を確保することが先決。フランスのサルコジ大統領(当時)は2009年、18歳を迎えた成人市民を対象に新聞一紙を一年間無料で提供する政策を発表した。この報道は日本でも取り上げられ、「業界支援ではないか」とする批判も巻き起こった。だが、新聞を「活字文化」の範疇に置けば、国が市民の文化生活を支える「フランスらしさ」である。すなわち、日本も、国が美術館を財務援助し、たとえば20歳の市民は「100円均一」などの政策を考慮すべきだ。また、映画館の「映画の日」に負けじと、「美術館の日」を設定しなければなるまい。毎月A日を「入館料半額」に値下げしては どうか。映画館が「映画の日」を実施するのは値下げしても利益が確保されるからであり、美術館が年数回 無料開放デイを設ける非経営性はない。半額にして月一回 大量の市民を呼べば、必ずユーザーはリピーターになる。

    美術館の営業において細かい点を指摘すると、「月曜日定休」と「17時閉館」の慣行が時代に取り残されている背景ではないか。今、「○曜日定休」などの看板を掲げた店は少ない。かろうじて商店街の洋食屋さん 等は定休制だが、なぜシフト運営が可能であるはずの美術館が個人経営の店と同じスタイルなのか。「17時閉館」は高齢者しか寄れない時間帯だろう。

    こうした時代遅れの制約を取っ払い、「コンビニ化」を進めた姿が、「市民の通う美術館」である。私は美術館がレディースデイを設けない一点は評価している。それは、性差別主義に抗した「パブリック・カルチャースペース」である。国が支えるに値す「場」だ。













    1

    2013/11/30 00:48

    0

    0

  • monzansi様

    この度はご来場いただき、ありがとうございました。
    橋爪役をやっておりました、滝野洋平と申します。
    ご指摘の通り、観る位置によって、まったく違った印象を持たれるのではないでしょうか。
    役者の表情が見えないとなると、あとは挙動を見る、もしくは声を聴くことしかできませんから。
    現代では、芸術離れ(とでも言うのでしょうか?)が加速してる感じですね。
    我々ももっともっと良い舞台を提供するよう頑張ります!
    また何かの機会がありましたら、ご来場お待ちしております。

    2013/11/30 01:27

このページのQRコードです。

拡大