プロペラとスカーフ 公演情報 アトリエ・センターフォワード「プロペラとスカーフ」の観てきた!クチコミとコメント

  • その風=大正浪漫飛行は技術立国の原点を教えてくれる
    「大正浪漫」を地で、いや、空で行く物語だった。時代は大正8年(1919年)弱小小型飛行機研究所の、資本家、労働者階級の枠を超えた、「飛行機を戦争のための道具にしない!」熱い意欲を、重厚なドラマ性で描く。

    今までの「大正浪漫」をモチーフとした舞台であれば、「運動家」を悲愴感のもつ「良い姿」で捉えることが多かった。また、その反対に、若い「海軍士官」を制服カラーのような「真っ白な」青年として捉えることも多かった。いずれも、両者へ明確な線引きを行い、「比較対象」から大正(昭和初期)の空気を再現したのである。前者は「軍国主義」「軍人」だったし、後者は「現代人」だろう。

    ネタバレBOX

    この“常識”では、「運動家」峯岸(眞藤 ヒロシ)を第一、第二の登場シーンだと銭をかっぱらう「いかがわしい男」に捉え、第三の登場シーンには協力者を匿う「筋の通った男」として捉えた展開は“非常識”だ。同じことは海軍士官•仁科(矢内 文章)にも指摘できる。それは、同じ人間が時と場所で変貌を遂げてしまう、世の中の“常識”に他ならない。


    「飛行機を戦争のための道具にしない!」熱い意欲は、「大正浪漫」以降、第二次大戦へ至る啓示だろう。ラストの飛行大会が啓示だったかといえば、「浪漫」に収まった感もある。中島飛行機「ゼロ戦」への啓示を込める演出が足りなかったのは残念。

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    2013/11/22 00:32

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