その風=大正浪漫飛行は技術立国の原点を教えてくれる
「大正浪漫」を地で、いや、空で行く物語だった。時代は大正8年(1919年)弱小小型飛行機研究所の、資本家、労働者階級の枠を超えた、「飛行機を戦争のための道具にしない!」熱い意欲を、重厚なドラマ性で描く。
今までの「大正浪漫」をモチーフとした舞台であれば、「運動家」を悲愴感のもつ「良い姿」で捉えることが多かった。また、その反対に、若い「海軍士官」を制服カラーのような「真っ白な」青年として捉えることも多かった。いずれも、両者へ明確な線引きを行い、「比較対象」から大正(昭和初期)の空気を再現したのである。前者は「軍国主義」「軍人」だったし、後者は「現代人」だろう。