紅小僧 公演情報 劇団桟敷童子「紅小僧」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    現代を逆照射!?
    昭和初期、前近代的な信仰の残る村社会で起こる、集団と排除の物語。

    過去を描いた物語なれど、現在を逆照射している。

    かつて村社会にあった信仰のようなものは、
    現代にも形を変えて残り続けていると強く感じた。

    それが、集団の暴力、ファシズムの根底だ。

    役者さんたちが皆素晴らしかったが、
    特に大手忍さんの演技が凄かった。

    ネタバレBOX

    戦争によって人は消え、村社会の秩序を乱すものは消える(場合によっては消される)。そして、すべての不都合は「神隠し」とされる。

    その嘘(幻想)を信じることで、村社会の秩序は維持される。
    そこをどう突き崩すのか、、、、。

    〈異界より迷い出た娘〉が排除されそうになった時、
    その娘を妻だと思っている〈村外れに住む老人〉とその息子〈山上業師〉は、
    娘(妻?・母?)を守ろうとし、
    娘と同様に排除されかけていた〈隣村の男〉や、村の中の外部者〈村の女乞食〉もそれに加わる。
    更に、男の強さを持たない青年〈進〉や村の女たちも、次々とその娘を守る側に付く。

    村社会に巣くう男の権力に、排除される者や力を持たぬ者が集まることで、それに対抗するということだろう。

    こう書くと、陳腐なプロレタリア演劇のようだが、
    そんな単純な話でもない。

    結局、ハッピーエンドでは終わらない。
    弱き者がいくら村社会の、男の論理に対峙しようとしたところで、勝てるわけではない。

    娘は、自ら異界(山)に戻っていく。

    そして、最後に息子?(もしくは、異父兄?)に「生きろ」という。
    (夫?(父?)には、「私の名前を呼んで?」という。)

    こんな現実の中で、それでも生きていかなくてはいけないということだろう。


    そもそも異界とは何を意味しているのか?
    単純な物語のようで、多様な解釈ができる。
    なんとも不思議な作品。

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    2013/11/18 23:58

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