ここには映画館があった 公演情報 燐光群「ここには映画館があった」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    映画を通して日米関係を見る
     映画好きには堪えられない内容に沖縄の現実を重ね、以て日本全土の沖縄化をも示唆、米国の植民地、日本を照射している点は流石である。

    ネタバレBOX

     話は1976年に日本で公開された映画を中心に、映画大好き少女3人組と地元の映写技師を中心に進む。少女のうちの1人が、応募した原稿で賞を取り、その事が報じられた結果、沖縄に住む、ピーターという人物とペンフレンドになったことで、沖縄は、もう一方の極になる仕掛けだ。
     坂手氏自身が映画少年だったということで、鏤められた映画情報は、見事なものである。また、日本という国を見る際、沖縄からの視点で見ると実にハッキリその正体が見えるという事実も指摘しておきたい。観客諸子も良くご存じの通り、坂手作品には沖縄を扱った作品が実に多いのは、作家自身の表現する者としての立ち位置が、本質を見通すことのできる所にあるということであろう。1995年の少女拉致・輪姦事件という最低最悪の凶悪事件に於いてすら、植民地日本は、起訴に至らない限り、関与の明らかな犯人引き渡しが請求できないという日米地位協定の差別そのものの規定によって実行犯3人が引き渡されなかった件以来、島ぐるみ闘争が激化する中で、日本政府が取った態度は民主主義を標榜する独立国のものでは無論ない。寧ろ、近代以前の封建制だろう。江戸時代であれば、幕末を除き、それでも独立国の体裁は保っていたのだが。
     私見によれば、それもこれも、益々、力を増してくる中国と勢いを盛り返しつつあるロシアを睨んで日本をアメリカの前線基地とする為のステップである。つまり、沖縄の現況が、全国レベルで展開されるということだ。秘密保護法、日本版NSC、その先には国家安全保障法案概要で示されたように、憲法改悪等しなくとも集団的自衛権が行使できる体制構築がある。また日本版CIAとして諜報機関新設も公言されているのだ。こんなもので、自分だけは安全だなどと考える国民が居たとしたら、そいつはホントにお目出度い、としか言いようがない。イマジネーションの欠落をおぞましい迄に露呈しているからである。
     何れにせよ、映画の楽しさも含めて、日米の関係が良く分かる作品になっている。

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    2013/11/18 16:09

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