満足度★★★★
圧巻の『結婚』
イーゴリ・ストラヴィンスキーがバレエ・リュスの為に作曲したバレエ作品特集で、音楽も振付もそれぞれタイプが異なり、ストラヴィンスキーとバレエ・リュスの革新性が良く分かる公演でした。
『火の鳥』(ミハイル・フォーキン振付)
2011年に上演された物と同じ版(その時の感想 http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=83496)でしたが、前回よりも群舞にまとまりが感じられ、迫力がありました。音楽に合わせてマイム的な動きをする所で微妙にずれていることが多かったのが残念でした。
古川和則さんが演じた魔王カスチェイのいかにも悪役な身振りが楽しかったです。
『アポロ』(ジョージ・バランシン振付)
一応それぞれに役名はあるものの特にストーリーは無く、奥に階段状のセットがあるのみのシンプルなステージで装飾のない白のレオタードを着て幾何学的なフォーメーションの美しさを見せる作品で、アルカイックな雰囲気の中にユーモアが感じられました。音楽も振付も感情の表出を抑えていて、独特の浮遊感がありました。
タイトルロールを踊ったコナー・ウォルシュさんの筋肉の存在を強く感じさせる動きがまさにギリシャ彫刻の様でした。
『結婚』(ブロニスラヴァ・ニジンスカ振付)
ピアノ4台、打楽器7人、歌手のソリスト4人、合唱という特異な編成の為、あまり上演されない作品ですが、強烈なインパクトがありました。
結婚式直前の新婦の家族と友人、続いて新郎の家族と友人、再び新婦、そして結婚式の4つの場面からなり、男女それぞれが揃いの衣装を着て無表情で機械仕掛けの人形の様にユニゾンで踊る不気味さの中に悲しみや嘆きが感じられました。
1場の終わりと3場の始まりが全く同じ光景だったり、4場で壁の奥に小部屋が現れたり、双方の両親は踊らずにずっと立ったままあるいは座ったままだったりと、演出的にも興味深い手法が用いられていて、90年前の作品には見えない斬新さがありました。