僕の偉大なるアイザック・ニュートン 公演情報 feblaboプロデュース「僕の偉大なるアイザック・ニュートン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    狂気の時代
     距離の問題を様々な人間関係とシンクロさせて描いている点が良い。未来を失った個々人が“我々”を取り戻す試みでもあるだろう。

    ネタバレBOX

     安倍のような知恵遅れ、そう言って悪ければ幼稚な精神が言う「トリモロス」では無いことに注意願いたい。奴がやっていることは取り殺すことである。誠に阿保は救いようが無い。あ、ちょっと逸れた。
     だが、奴らがやっていることが、我々の未来を奪っているのだ。そして、未来を奪われた者には、絶望以外に何も残らない。それが何を意味するかは普通の知能を持つ者には明らかであるが、脳味噌の入っていない連中にはとんと合点がゆかぬらしい。ところで、今、演劇人の多くがこの思考停止状態を何とかする為、天才というキャラクターを必要としているのではないだろうか? 社会学的に統計を出しているわけではないが、時代に対して敏感な感性を持つ人々の多くが、天才という名のヒーローを待望しているのかも知れぬ。そう思うのだ。
     今作にも天才と綽名される秀和が登場し、米軍のデータベースにアクセスして核爆弾の設計図を入手する。然も、それは、当初、ポルノアニメという擬態で発見されたのだ。カモフラージュである。アメリカは、ハッカーがテロリストだと決めつけ、戦争を始めたわけだ。それで、東京にもミサイルが撃ち込まれ、銃砲撃の音も絶えないのである。
     彼の「恋人」、ミリナの名にもmilitaryやmilitiaの略mil.が含まれていると考えると分かり易い。核兵器の設計図なのだから、現時点で武器の頂点であり、核戦略体制とは、核によって総ての兵器が、ローテクレベルの通常兵器として安定することではなく、逆に総ての兵器が核兵器の破壊力に近づく体制であることを認識しておくのは、当然のことなのである。米ソのデタント以降、核兵器・核弾頭の数こそ、減ってはいるものの、未だ我々が、狂気の時代を生きていることに変わりない。アメリカの犬共(安倍、石破、竹中平蔵等々)が推進する原発路線はその狂気の植民地バージョンなのである。現実がこのような状態であり、秘密保護法は好い加減に可決されそうな状況で、実際、どんな未来が我々に在り得るというのか? そんなものが一切ないのは、沖縄密約が、アメリカの公式文書で発表された後でもシラを切り続けた官僚・政府を見れば明らかなことだろう。言っておくが、これは現行法でこの状態だったのである。
     さて、話を本作に戻そう。超人が、もう1人登場するのだ。けんじである。彼は不死身でその進化の速度も凄まじい。それに、秀和ほどではないが、コンピューターのハードに関しては秀和以上かも知れない能力を秘めている。核戦争後に生き残った、恐らく唯一のヒトである。宇宙に滞在していた香帆は、戻って来たが、残留放射性核種の発する放射線の影響で永く持つはずはない。ということは、生存可能性のあるヒトとその遺産としては、けんじとミリナ、後は潜水艦の乗組員くらいだろう。何れにせよ、通常の人間は、浴びる放射線の為に長生きできないのは無論のことである。
    従って、ガイアで生きて働くのは、けんじとミリアのちぐはぐコンビ、新生ならざるアダムとイブだ。
     このようなSF仕立ての中に、サム、美幸の幼馴染という関係、お兄ちゃんと香帆兄妹の保護・被保護を巡る軋轢、佐々木 舞と中村 舞の親友関係、秀和、ミリナの絶対現実化し得ない恋などが鏤められて人間的な次元に話を纏めている。殊に、秀和、ミリナの恋語りの中でディスプレイ1枚の隔たりが無限の距離、次元の相違を意味して、2人が直接触れ合うことも叶わず、互いの手をディスプレイに当てて思いを交換するシーンなどは、頗る美しい。

    0

    2013/11/14 14:22

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大