満足度★★★
謎めいた会話劇
シンプルな舞台美術・照明の中で展開する3人芝居で、掴み所が無いのに不思議な求心力を感じる作品でした。
子供と母親、そして父親の友人である男性の3人の会話がはっきりとした筋が見えない状態で続き、その3人および登場しない父親の関係について考えさせられるミステリアスな物語でした。
短い台詞が畳み掛けられる場面が多く、喋っている途中で他の人が遮って話が続かなかったり、同じ言葉を繰り返したり、つっかえる様な妙な間があったりと、会話のテンポが独特で引き込まれました。それぞれの思いが台詞になりきらずに空中分解している様な雰囲気が興味深かったです。
元々そうなのか、翻訳のおかげかは分かりませんが、あまり海外戯曲らしさを感じず、内容的には入り込みにくいものの、雰囲気としては受け入れ易いと思いました。
空間に対して斜めに振ったステージに置かれたいくつかの家具や、2階に繋がる階段が群青色から白へのグラデーションで統一されていて、スタイリッシュな雰囲気を生み出していました。
谷原章介さんのタイミングを間違ったかの様な間の取り方が絶妙で、謎めいたキャラクターが表現されていました。子役の山田瑛瑠さんは大人2人と変わらない台詞の量をこなしていて、子役にありがちな臭い演技もなく、良かったです。