栄え 公演情報 MCR「栄え」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    少し薄味だった
    “イケメンを多数集めた舞台が人気らしいので、それに便乗して借金でも返してやろうか、
    と企んだ結果がそこから遠く離れた今作品“(説明文より)…うん、合ってる。
    看板に偽りなしだ。
    思いがけずSF仕立てなのだが、そのシュールさが日常の延長線上にあるのが櫻井流。
    男がしょぼい人生をやり直すには、絶対不可欠なものがあった。
    一つは友情、もう一つは男よりちょっと積極的な女の勇気。
    いつもの”切羽つまった男の捨て身の優しさ”が薄味だったような気がするのは
    展開のせいか、見せ場の台詞がイマイチ際立たなかったせいか?

    ネタバレBOX

    客入れのBGMがとても素敵で、相変わらずセンスの良さを感じさせる。
    冒頭男子校の教室では、櫻井智也先生が品行方正であるはずもなく
    つられるように生徒もそれなり。
    その生徒の中に、40歳の栄(友松栄)がいた。
    彼はある日突然、この高校生時代にタイムスリップしてしまったのだ。
    だから全てを知っている、40歳になった同級生の夢破れた姿も
    東北に巨大地震が起こることも
    そしてこれから栄に訪れる伊達(伊達香苗)との恋が哀しく終わることも…。

    事情を知った友人堀(堀靖明)と小林(小栗剛)が
    「こんな奇跡が起こったんだ、未来を変えることだって出来るはずだ!」
    と栄を励ますが、彼は「どうせ何も変わらない」と全てを諦めている。
    だが先に変わったのは友人たちの方だった、という所が感動的。

    ミュージシャンになりたいという目的を後押ししてくれる栄に感謝しつつ
    しょぼい未来を変えてみせると決意する小林。
    自分には小林のような目的が無いと、深く内省する堀。
    そして宗教法人の跡取りとしての全てを捨て、栄と共に生きると誓う伊達。
    それらに背中を押されるように人生が変わって行く栄。

    MCRの作品の中で私が断トツに好きな「貧乏が顔に出る」、
    次に好きな「俺以上の無駄はない」には究極の男の優しさがあった。
    “いちいち理由は言わないが大事なものは守る”という捨て身の優しさがあった。
    罵詈雑言の果てにじ~んと男気を感じさせる間があった。
    今回も小林と堀の心情にそれは見られたが、饒舌な台詞の中に埋もれがちだったかな。
    小林の「栄、俺に感謝して金を貸してくれ!」という見せ場のキメ台詞など、
    流れの中に埋没してもったいない気がした。
    ラスト、栄と伊達の思いがけない(笑)キスシーンはとても良かった。
    イケメンでなくても素敵なラブストーリーは成立することを見せてくれて楽しかった。

    タイムスリップしても未来は変えられない…と思いきや
    努力すれば結構変えられる、でも変わらない人もいるってところが
    櫻井さんの面白いところで好きだ。
    でも伊達や小林のその後が、ちょっと知りたかった。
    私が見落としたのかしら。

    堀靖明さんの髪の毛ぷるぷる震える力演が好きだ。
    栄の父親役本井博之さんのいーかげんな感じ、小栗さんのギターの上手さ、
    伊達香苗さんの豊かな胸が印象に残った。

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    2013/11/09 02:55

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