吉田光希(映画監督)×河西裕介(演出家)『ハアトフル』 公演情報 浮間ベースプロジェクト「吉田光希(映画監督)×河西裕介(演出家)『ハアトフル』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    微細な関係性を描写
    河西裕介Verが素晴らしかった。
    人間関係の中に潜む微細なものを、本当に丁寧に描いている。
    それを演じる役者さんたちも素晴らしかった。
    特に森チエ役:笠島智さんがよかった。
    野田慈伸さんはいつ見ても間違いない安定感。

    吉田光希Verは、あまり好みではないが、
    部屋の一室での臨場感はあった。

    ☆4は河西Verへの評価です。

    ネタバレBOX

    <河西裕介Verについて>
    ああいう性的にドロドロとした人間関係を、私は経験したことがないので、自分の人生と重ねて何か強烈なものを感じるということはなかったけれど(それが感じられる人には、より強烈な作品なのだと思う)、自分と一見関係なさそうな人たちの会話の中にも、自分が日常的にやりとりしている人間関係の力学、それも極めて微細なものが、とてもよく描かれていた。その細部の描写力に驚いた。その細部こそが、普遍に通じているということだろう。素晴らしかった。

    <私的メモ>(作品への感想・評価とは別ものです)
    バイト先で知り合った元ホストの男(拓也)が主人公(森チエ)に言い寄る場面がある。
    男が手の話題をふり、そして手を握る。そこでの指の感触から、2人の肉体的・精神的距離が急激に縮まる。
    2人の間にある一線を越境する場面だ。
    ここでの緊張感は、多くの人が経験しているものだと思う。
    実に見事だった。

    だが、このシーン、私は座席が後ろだったために、前の観客の頭が邪魔して、まさにその手の動きがまったく見えなかった。
    そこで、私はその細部を想像するしかなかった。
    自分の過去のそういう経験なども思い起こしながら、、、

    それによって、そのシーンが、私にとって、この作品のかなり重要な場面として印象付いてしまった。
    だが、普通にその場面を見ていたら、その印象はだいぶ違ったものになっていたのではないか。
    もしばっちり見えていたら、その見事な細部の描写に、今以上に衝撃を受けたのかもしれない。又はその逆で、ただの一連のシーンのひとつとして、たいした印象にも残らずに流れてしまったのかもしれない、、、わからない。

    いずれにせよ、観客にとって「見える」ことと「見えない」こととの関係、想像力の問題など、深く考えさせられた。
    (と言っても、これは作者が仕組んだ演出ではなく、偶発的に私に生じた事態なので、私的メモ。)

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    2013/11/08 23:19

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