ニッポンヲトリモロス 公演情報 劇団チャリT企画「ニッポンヲトリモロス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    現体制をおいそれと笑うなかれ
     今から7年後、東京五輪イヤーに都心のホテルで次々起こるアクシデントを現体制が抱える問題点の暗喩として描き、「ああ、これはあれのことかぁ(笑)」と“気づきの笑い”を誘うだけの浅薄な劇。

    ネタバレBOX

     たとえば、館内の随所で起こる謎の水漏れは原発汚染水漏れの暗喩、悩ましい事態が起きると支配人が腹をくだしてトイレにこもるのは宰相の持病の暗喩、という具合。
     しかし、こういうことをあげつらって現体制を笑おうとするのはいかがなものかと思う。
     思い返すに、この劇が笑いの対象にしていたのは原発事故と宰相の持病、そのタカ派志向くらいのもので、それも情けない話。TPP、特定秘密保護法案、改憲など切り込める対象は他にもいくらだってあるはずで、それらも採り上げていれば1時間で終幕というみっともない事態にはならずに済んだはずだ。
     その前にそもそも、笑って済まされないことを数々為そうとしている現体制をそうおいそれと笑っていいものなのだろうか?
    「笑って許す」という言葉があるくらいで、笑うことは許すことにつながる。が、現政権が為そうとしていることは国家の私物化とも言うべき度しがたいことであり、笑って許すことなど到底まかりならない。
     ならば、作られるべきは以下のようなコメディだ。
     体制を担う面々に見せて“連中が笑うような”劇、そしてその笑顔がやがて凍てつくような劇である。
     たとえば、そのおぞましさをいくらか強調しながらも現体制の醜悪な姿を鏡に写すごとく極力忠実に写し出し、恐さ余って笑うしかないような劇。むろん、連中だって顔を引きつらせながら笑う。
     そうでなければ、現体制が準備している政策がもれなく失敗して目も当てられないような惨状を呈している未来の日本、ひいては地球が舞台のブラックコメディ。
     それくらいのものを作らなければ現体制は己の愚に気づくまい。

     この政権は本当にヤバい。。
     そんな切迫した思いがこの劇からは残念ながら伝わってこなかった。
     松井周×文学座による傑作『未来を忘れる』のほうが危機意識に満ち、体制批判演劇としてもずっと上をいっている。

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    2013/10/30 03:43

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