本当のことを言ってください。 公演情報 劇団昴「本当のことを言ってください。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    創作劇としての完成度は高い


    食品偽装事件は後を絶たないし、最近、「週刊文春」が、特集を組んでいたのを見るにつけ、気にしていたら、何も食べられない病に陥りそうな昨今ですが、たまたま今日やなせたかしさんの「100年インタビュー」の再放送を観たばかりだったので、オリエントミートの会長がやなせさんと重なり、そのため、会長の娘瑞穂やその息子次郎の行動に、現実性がないような印象も感じてしまいました。

    ただ、あくまでも、創作劇だという視点で観れば、相当よくできた芝居であることは間違いありません。

    昴の役者さんは、どなたも演技者としてのレベルが高いので、こういうリアルな告発芝居は、固唾をのんで観られ、いつも見応えがあると感心します。

    どうも、青年座風な芝居作りだと感じたら、演出は黒岩さんで、納得しました。
    かつて、青年座で上演した、スーパーマーケットを舞台にした作品と、雰囲気が似通っていました。 

    尚、この舞台を観た数日後に、阪急グループのホテルレストランの偽装が明るみに出て、関係者の謝罪会見の台詞が、あまりにも、この芝居さながらだったので、一人で、大受けしてしまいました。

    高級ホテルや、大手スーパーマーケットまでがこの騒ぎでは、まさに事実は小説より奇なり。本当のことを言う日本人は、我が国にどれだけいるのだろうと、気持が暗くなるばかりです。

    ネタバレBOX

    弁護士と、謝罪会見のリハーサルをする場面は、「謝罪の王様」にも共通する面白さがありました。

    食肉偽装の内容は、WOWOWのドラマ「震える牛」にも似て、かなり具体的なので、観劇後は食事したくなくなりそうな気持になるかもしれません。

    戦後、娘においしい食事をさせてやりたい一心で、食肉会社を創業した会長役は、ご病気の北村さんに替って、小山さんが演じられましたが、この役にピッタリで、見事代役を務められたと思いました。

    同級生の弓子の頼みで、何も知らずにこの会社に勤め、敏腕営業部員として活躍する内に、会社の暗部に気づき、内部告発に踏み切るしおり役の市川さんは、激して台詞を言う時、初日だということもあってか、何度か閊えるところもあったのですが、それがかえって、ドキュメンタリーを観るような臨場感を産んでいました。

    役者さんも、全員、好演されていますし、脚本にも、演出にも齟齬はないのですが、ただ、こういう実に誠実な企業人の会長の親族が、幾らコスト削減のためとはいえ、平気で、従業員に濡れ衣を着せたり、子供や孫にも食べさせられないような、口にするのもおぞましい食肉偽装をするだろうかと、人物キャラクターの設定には、どうしても疑問を感じてしまいます。

    人格のDNAって絶対あると信じている私としては、この会長から、瑞穂のような娘は絶対育つ筈はないと思うので、あくまでも、創作劇としては、満点という評価でした。

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    2013/10/20 02:07

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  • 長寿郎様

    コメント、ありがとうございます。

    どの部分に、ご共感頂いたのでしょうか?

    最後の、ホテルに関するコメントにでしょうか?

    2013/10/26 21:14

    同感です

    2013/10/26 07:17

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