30才になった少年A 公演情報 アフリカン寺越企画「30才になった少年A」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    期待以上
    丁寧な役の作りこみによって秀逸な脚本が生かされ、成り行きをハラハラしながら5人(+α)の人生に共感し、芝居の持つ力を再認識した二時間だった。

    ネタバレBOX

    正直なところ、見終わってすっきりするとか明日も元気に生きていこう、というようなカタルシスは得られない。
    しかし、ここでは確実に誰かの人生を垣間見ることができたと思う。

    詳細を書きたい気持ちもあるが、うまく書ける自信もないので、見事な演出だと思ったところを書いておきたい。

    主人公が自身の罪を振り返るとき、結局「自分が誰かの人生を奪った」という意識には至らない。
    「あの時ああだったらこうだったら、渡っていた橋の長さがどうだったから」
    という自分以外の要素に原因をなすりつけているのだ。
    脚本を書いているうちに、「本当に反省している主人公」を書きたくて、もっと抜本的な反省をしている描写をしたくなりそうなものだが、あえて、リアリティのある「自分以外のせい」を貫いたのは見事だと思う。

    そして、その思考は被害者やその遺族が加害者を許せない理由も隠されているのである。

    役者さんの演技に説得力があって、主人公以外の4人がそれぞれ、一本の舞台になってもおかしくないほどに「人として立って」いてよかった。
    それぞれが舞台に立つ前にどう生きたかが感じられる演技だった。
    さらには出てはこないけど、「被害者の少年」「被害者の遺族」の顔も見えてくるような気がした。

    正直こんなに気持ちが揺さぶられるとは期待していなかったのでうれしい誤算であった。

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    2013/09/25 11:12

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