満足度★★★
演劇ver.鑑賞
ダンス的な身体表現を多く用いつつも台詞や展開はほぼ原作通りで分かり易く、ダンス版と同様に小道具を用いた影絵や映像の演出についてもダンス版に比べてその必然性が感じられました。
ダンス版に比べると分かり易いとはいえ、それでも戯曲か前衛的ではない演出の上演を知らないと物語が分かり辛いかも知れません。
スクリーンとして用いられるホワイトボードが舞台奥に置かれ、作品の中で用いられる様々な小物(おそらくダンス版と同一だったと思います)がステージ中央に円形に並べられ、基本的にはその中のエリアで演じられ、その外では同時に他の場面が演じられたり、ポーズを取ったまま静止していて、最初から最後まで5人が出ずっぱりでした。
荒野の場から始まり、一般的な配列で進行しつつ、所々で別の場の台詞を挿入したり、同じシーンを繰り返すなどの改編が加えられていました。普通だとマリー殺害前に置かれる寓話的な挿話がマリー殺害後に置かれていて、静かなクライマックスを築き上げていたのが印象的でした。
電子機器や日用品を用いるセンスが良くユニークな表現が楽しかったです。同一の物が連続する場面で異なる物に見立てられたり、ライブ映像でトリッキーに役者と小物を関係させたりと、演出は機知に富んでいて面白かったのですが、役者の台詞回しやダンスに確固とした物が感じられず、覚束無い印象だったのが残念でした。