満足度★★★
聖女ジャンヌの英雄的活躍ではなく、その存在をめぐる周辺の人々の困惑、動揺、詭弁…宗教裁判と死後に比重がある。
もうおなじみジャンヌ・ダルクの物語。
ここ数年の舞台でも、毎年のように登場するジャンヌ。
その英雄的活躍を描くわけではなく、
彼女が周辺を巻き込んで、その登場を利用する者、
活躍に困惑する者、自分の地位を守らんとする者など、
政治、宗教、関わる人々の思惑を描く。
特に宗教裁判で、公正を規そうとする流れと、
片や感情的な攻撃、あくまでも理論的に進めようと
したり、形式的で空虚な結論が見えたりと、
駆け引きが錯綜する部分が興味深い。
これに加えて、火刑の後、夢幻の世界で
各人物が再登場し、本音と愚痴を交し合う。
このシーンは、これまでとは打って変わって、
意図的に陳腐な会話が続く。
作者は、もう絶対に、裁判とこのシーンが
特に描きたかったのであろうということは明白。
観ているこちらも急に突き放されたようで白けてしまう。
そこまで意図されたであろうとおりに。