破滅志向 公演情報 小西耕一 ひとり芝居「破滅志向」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    地雷を踏みたがる男
    3回目となるひとり芝居に、出演者は二人いる。
    天を仰いで「あー、俺幸せだ、このまま死にたい!」みたいなことを叫ぶ男と
    その男と付き合って別れてひどいことされる女の二人だ。
    だが基本的にこれはひとり芝居だと思う。
    脚本の構成やキャラの設定、当日パンフやブログも含めて、
    自分のダメダメぶりをさらしつつフィクションの世界へするりと誘いこむ手法に
    書き手としてのしたたかさと進化を感じる。

    ネタバレBOX

    高校で化学をおしえるソウイチ(小西耕一)は
    感激しやすくすぐに「死んでもいい!」とか口走る男だ。
    サエコ(菊地未来)のことが大好きで結婚するが
    あることをきっかけにサエコはソウイチのもとを去ってしまう。
    そしてソウイチの陰湿な嫌がらせが始まった…。

    別れのきっかけがシリアスで、思わず考えさせられるが
    じゃあソウイチは一生それを背負っていけるのかと言えばまず出来そうもない。
    全てに理由を必要とする彼は、逆に理由さえあれば何でも正当化する男だからだ。
    その証拠に自分の思いを受け入れないサエコを徹底的に傷つけようとする。
    「俺の気持ちを踏みにじった」
    「俺を裏切った」
    彼にとってそれは彼女に制裁を加える十分すぎる理由だ。

    ひとり芝居と言いながら二人出演するが
    過去2回のひとり芝居の延長線上にあることを感じさせる。
    サエコの反応は「無理」「怖い」の二つの言葉に集約され、ほぼ受け身。
    今どきの女性としてはこのタイプの男に対する警戒心がなくあまりにも無防備だ。
    それは、テーマが“破滅志向”の男の一方的な主張と行動であって
    最初からコミュニケーションが欠如している関係だからだと思う。

    菊地さんが、サエコと教え子のマナミの二役を演じたのはとても面白かった。
    つまり誰でもいいんじゃないの?って感じで
    ソウイチの身勝手な主張と行動の落差が際立つ。

    大体電話で「君じゃないとダメなんだ、やり直そう」と泣いて謝ったけど
    もうその時点で彼は決定的なブツを彼女に宛てて送りつけているのだ。
    上手くいくなんてこれっぽっちも思わずに泣いてみせ、ダメ押しの反応を確かめる陰湿さ。
    ちょっとでも“いい奴”の欠片を残そうなんて全く考えていないところが潔い。

    舞台に二人が立つことで位置関係が明確になり
    会話のテンションが上がってテンポも上がる。
    構成の上手さもあって一気に破滅へ快進撃。

    転がり落ちる自分を眺めながら“あ、これ芝居に使えそう…”とか
    どこかクールに観察するスタンスが小西さんの個性だ。
    言わなきゃいいのにあえて地雷を踏んで、木端微塵にならなければ気が済まない。
    そうしなければ終わりにできない。

    小西さん、地雷 探しながら歩いてるよね?

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    2013/09/20 10:07

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