透明 公演情報 TEAM☆イットクルゼ!「透明」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    大人も子供も楽しめる
     骨太でしっかりしたシナリオと論理的だが、錯綜した内容でホントに楽しめる。無論、ファンタジーの楽しさ、幻想性は、きちんと活かされているので、子供連れでも楽しめよう。

    ネタバレBOX

     かつて強大な王国、ヤロウで威勢を揮った王があった。然し、彼は強大な王国の王であることに飽き足らず、人であることを止め魔王となるが、ハーブ王国の王は七人の勇士に魔王討伐を命じ、この目的を果たした。時は流れ、魔王が居たことは既に伝説となり、人々の口の端に上ることもなくなっていた。
     そんな折り、ハーブ国のお転婆姫、ミントが森の魔女に攫われる。王女の運命や如何に? というほど単純な物語ではない。実は、今作は、徹頭徹尾、作品がメタ化されている。ファーストシーンで売れないファンタジー作家の原案が上演されるが、これを観た担当編集者が、ダメダシをし、書き直すように要請する。それも明日までにだ。作家、結城は、原稿のことを考えながら寝転ぶが、どういうわけか物語のシチュウエイションの中に入り込んでしまった。夢だ、と納得するものの、編集者の大和田が訪ねてくると、書いた記憶も無いのに、原稿は、「夢」で見た通りの内容に改まっている。こうして、現実であるはずの作家としての生活と書かれているハズの内容とが、照応し合い、変質し合って、できる編集者、大和田の示唆よりずっと良い作品が出来上がってゆく。詳しい内容は観てのお楽しみだが、誰もが、何も信じることのできない暗い現代生活の中で、駄目な作品を登場人物達と共に作り直して行く、という嫌みのない展開が頗る上手い。また、不信感しか無い現代日本で創作の裏側を見せる、という構成になっている点も評価できる。作品の根底を形作る論理性に関してもブレが無い点は見事である。
     また、魔術を使う場面で電飾を上手く使って効果を挙げている点も評価できる。シナリオ、演出の良さに加えて、役者陣のキャスティング、演技、照明や音響効果などのマッチングも中々のものだ。楽しめるだけでなく感動もできる。

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    2013/09/20 03:15

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