hedge 公演情報 風琴工房「hedge」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    わかりやすい金融入門
    金融用語の解説を劇中で行う、その巧みさに驚きました。
    これなら全く知らない人でも十分理解できるだろうなというところまで丁寧に落とし込み、同時に笑いも取っている。詩森さんの力に脱帽。

    ただし私個人としては(プラザ合意の少し後から20余年間、どっぷり金融業界に浸かっていたので)、くどく感じる部分もあり。「それはもういいよ」と退屈になるところもありました。しかたないですよね。学校の授業と同じです。
    一緒に観に行った友人も「教育テレビを見ているみたいだった」と感想を漏らしていました。

    とはいえ、面白くなかったかというと、そんなことない、面白かったです。

    たくさんの扉で囲まれた舞台にはまさに複雑な「社会」を感じました。扉の使い方うまい。わかりやすくカッコイイ演出も、生演奏、音も、役者も良かったです。

    あまりに上手くまとまりすぎていたのが、物足りなかったのかもしません。

    詩森さんとこの劇団の素晴らしさは今回も感じましたので、次回作も絶対観に行きます。

    ネタバレBOX

    たびたび登場した会議の場面や、エリート意識のぬぐいきれない金融マンたちのちょっと鼻につく会話も、社長のスピーチも「業界あるある」で、個人的には目新しくなく、そのため残念ながら心揺さぶられることはありませんでした。
    唯一、グッときたのはラスト会議室に駆け込んできた国分の叫びでしたが、あくまでその様子にグッときたわけで、「自動倉庫部分を物流に従業員ごと買い取ってもらう」という案は、もっと早く思いつくだろ?と(笑)
    当然そこまでは最初に検討していて、立地とか雇用条件とか諸般の事情で出来なかったんだろうと思っていたのは、私だけでしょうか。

    腹黒い(人も多い)業界に居すぎたからか、いろいろ穿った目で見てしまって、谷川が「個人でクレーンを買った」というのも、ワタシ的には「下心がスケスケ」
    かつて私のいたところでも、法人担当者に気に入られようと要らないもの買いまくり、それを無理やり部下に売りつけたり、社内の景品にしたり(誰も欲しくねーよ)と、日常茶飯事でしたので。
    なので、最後まで谷川がさわやかだったのが意外でした。えっ、こいつ、実は一番悪党とかじゃないの?!みたいな。

    それで言うと、本当に、みんないい人でしたね。
    ぶっちゃけ、誰がいつ裏切るのかと思っていたので、あまりに波風が立たない世界に肩すかしでした。
    唯一最後まで期待していた(?)片桐まで、おばあちゃんネタでいい人になっちゃって~。
    ひょっとして、全ての男を魅力的に書きたいって想いなのですかね。
    仮に腹黒くても性格悪くても、片桐は魅力的でしたけど。

    加治氏だけがインサイダーで道踏み外しましたが、それも「あるある」
    そこをもっと泥臭く描いてくれたらドラマになったかもしれませんが、別の話ですね。

    余談ですが、その加治氏のシャツの襟にしわがたくさんあったのが、登場した時から、気になって仕方なかったです。億の金を動かす人間にあれはあり得ません。
    だから、冒頭の茂木を口説く場面、「こいつ詐欺だわ」と、ミスリードされてしまいました。いや、勝手に迷い込んだんだけど。
    ワイシャツは洗うと縫い目が縮んでしわになるんです。縫い目を引っぱりながらアイロン当てて欲しかったですね。むろん、ちゃんとした金融マンは全部クリーニングに出します。250円を惜しみません。今はもっと高いのかな?



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    2013/09/18 08:01

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