『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実― 公演情報 世田谷パブリックシアター「『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    作家のシニカルな視線
    ジャンヌ・ダルクの生涯、そして死後の彼女に対する評価を描いた物語で、サブタイトルの「ノーベル賞作家が暴く聖女ジャンヌ・ダルクの真実」は大袈裟でしたが、単なる歴史劇に終わらないラストが興味深い作品でした。

    シーン毎に左右の大きな壁を移動させて空間を変化させつつ、史実通りにストーリーが展開し、ジャンヌが裁判で異端者とされ火刑台に掛けられて死ぬまでが描かれていました。そこまでは史実に則っていたのですが、ジャンヌの処刑から25年経った復権裁判が行われた時代に飛んでファンタジー的な展開となり、さらに20世紀の人物も登場して、それまで地味目だった演出も遊び心が感じられるものとなったのが印象的でした。ジャンヌを含めた登場人物達に対するシニカルな視線が、いかにもバーナード・ショーらしかったです。
    ほとんど動きの無い、イギリスの伯爵とフランスの司教の対話シーンがかなり長かったり、ジャンヌの処刑シーンは描かれていなかったりと、シーン毎の時間配分のバランスが良くないと思いました。

    ジャンヌ役の笹本玲奈さんは、声や表情の演技は良かったのですが、元々の戯曲上の描き方がそうなのか、キャラクターの造形にあまり魅力を感じませんでした。
    ジャンヌ以外の登場人物は全て男性で、ベテラン勢のシリアスな台詞の応酬に見応えがあり、所々で見せるユーモラスな演技も楽しかったです。

    転換の時に流れるピアノ曲以外にはほとんど音楽が用いられず、音楽に頼った雰囲気作りをしていないのが良かったです。衣装は時代考証的には正確ではないものだとは思いますが、重厚な雰囲気があって格好良かったです。

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    2013/09/17 09:52

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