Hedda 公演情報 演劇集団 砂地「Hedda」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    空間演出の妙
    微細な音や光を駆使し、小物や役者の立ち位置を計算した空間演出が素晴らしかった。

    レーヴボルグ役:田中壮太郎さん、エルヴステッド夫人役:小瀧万梨子さんがよかった。

    ネタバレBOX

    演劇集団 砂地を拝見するのは二回目。(以前観たのはオリジナル作品『貯水池』)
    オリジナル作品の時も、今作もとても近い作品の印象を持った。

    微細な音や光を駆使し、小道具や役者の立ち位置などを計算した空間演出も素晴らしい。

    事象それ自体をただ舞台で演じればよいというだけではなく、
    そこにある空間、「間(ま)」のようなものをこそ作り出そうという演出に惹きつけられた。その演出によって、とても緊張感のある舞台が屹立していた。

    ただ、建築的な空間把握は凄いと思ったが、
    人と人との関係性の距離感が、その物理的距離感と有機的に繋がって見えてくるというところまでは行っていなかった気がする。
    (と言っても、そこまでの空間把握がなされた舞台を私は観たことがないから、単に理想を口にしているに過ぎず、「欲を言えば、、、」というだけだけれど。)

    また、どこまで演出したことなのか、たまたまそう私に見えただけかわからないが、
    主人公のヘッダとその夫テスマンよりも、レーヴボルグとエルヴステッド夫人の方が魅力的に感じた。

    そのためか、作品の問いかけている意味が、とても複雑に感じた。

    だが、これは、私にとっては半々で、
    一方で、多義的な解釈ができる作品になっていると思える反面、
    結局、何が問いかけたいのかよくわからないという印象の薄さにも繋がった。

    また、この作品が初演された1891年頃の設定のような演出部分もありながら、現代的な小道具が出てきたり、
    西欧の設定かと思いきや、床にあぐらをかくなど日本的な演出がなされたりという部分も、違和感を感じた。過去と現代を、そして西欧と日本を重ね合わせているのかもしれないが、何か中途半端な印象。

    私が感じた作品の印象の薄さと、中途半端に感じるという部分は同根から生じているように思う。

    今、この社会状況の中で、
    イプセンの『ヘッダ・ガブラー』を上演することで、
    この演出家は、観客に何を問いかけようとしているのか、
    それが私には伝わらなかった。

    それが伝われば、問いが明瞭になることによって、作品の強度は勿論、その解釈も、更に開かれたものになっただろうと思う。

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    2013/09/13 15:20

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