チューボー 公演情報 KENプロデュース「チューボー」の観てきた!クチコミとコメント

  • くず野菜を煮込んだスープほど美味い!



    厨房というのは、「油で炒めた牛肉や醤油ベースのソースが絡み合う」だけの場所ではない。
    厨房で働く「個人と個人が絡み合う」、そんな場所でもある。

    今作を観て考えたのは、現代社会の病理だった。





    続きはバレてないネタバレへ

    ネタバレBOX





    厨房というのは、「油で炒めた牛肉や醤油ベースのソースが絡み合う」だけの場所ではない。
    厨房で働く「個人と個人が絡み合う」、そんな場所でもある。

    今作を観て考えたのは、現代社会の病理だった。


    コンサルタント会社の社員が、レストランの経営再生のため、「あのシェフを首にしろ」「若い女性を雇い、BAR式レストランに変えろ」等、「助言」する。

    繋がりはないが、全ての登場人物を語らせた、「仕事にまつわる名言」を一部、紹介したい。
    言うまでもなく、コンサルタント会社社員の引用した ことば である。

    「立って仕事をする人より、座って仕事をする人の方が、所得が高い」(多少、改編)


    この 名言に どのような受け止め方をするかは、各々の思想だろう。

    舞台の関わり でいえることがあれば、レストランのオーナーシェフは「俺の店でなくなる…」の想いで、コンサルタントの契約(座って仕事をする)を破棄した。

    一種の(思想的)クーデターだった。


    今作は 面白い。結局、レストランは潰れ、再起を賭けた主人公も離婚してしまった。
    それを乗り越えるため、レストランの従業員が一致団結する姿は、観客への見せ方において「パッ」とするから、解りやすい。

    しかし、実際のところ、多くの観客を「しみじみ」させた。
    つまり、今作は「仕事にまつわる名言」のコーナーを設定したとおり、ただ観客に考えてもらう題材を提供する舞台だったのだ。

    その意志に対し、私はドキュメンタリー•シアターを数多く発表してきた『ワンツー•ワークス』の影を感じる。


    中国人従業員•陳さん の正体を描かなかった、描けなかった のは残念だ。
    なぜ、「敬語使えや!」と、1シーンのみ関西人だったのに、それきり人物像を掘り起こさなかっのか。
    あるいは、そういった関西人へ変貌するシーンが もう一回あっても順当な展開の はずだ。


    観客が見たい、聴きたい、を応えないのは、浅い人物像しか描こうとしなかったからだ。
    「仕事にまつわる名言」のコーナーを削ってでも、人物像に向き合うべきだった。
    私は そう考える。








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    2013/09/09 23:28

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