『MOJITO』『想像』(ご来場ありがとうございました。御感想お待ちしています!) 公演情報 BARHOPPER × MU「『MOJITO』『想像』(ご来場ありがとうございました。御感想お待ちしています!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    役者の質感と間の相関
    戯曲の設定と
    役者の醸し出す質感が、
    舞台を単なる平面的なリーディングに留めず、
    そこから踏み込んだ広がりへと導いていく。

    上演された2本は、
    それぞれに雰囲気も展開も異なりつつ、
    直接交わることのないロールたちの距離で
    物語を紡ぎ、観る側をとりこんで。

    シンプルで、所詮は台詞の重なり合いではあるのですが、
    なにかすっと引っ張り込まれてしまいました

    ネタバレBOX

    両作とも、二人が面と向かって会話をするシーンはなく、
    手紙やメール、あるいは電話でのやり取りで
    物語が組みあがっていく。

    それが、リーディングだからこその
    切っ先を導いていくれる。
    なんだろ、ピンポンのように言葉が行きかうのではなく、
    其々の台詞を繋ぐ間というか余白があって、
    それが役者の個性を引き立てつつ、
    観る側が語ることに
    現実感や膨らみを与えてくれる。

    MOJITO:

    二人の声や雰囲気が
    どこか異なる質感を持っていて、
    でもそれが、手紙やメールの言葉にのると、
    互いの想いが混濁せず
    それぞれの想いの際立ちにつながっていく。

    手紙は言うまでもなく、メールを互いに読む態でも
    当然に互いの想いがいったん満ちてからの会話なので、
    その「間」に、ロールが見つめる
    自らに対する正直さのようなものが生まれて、
    それが、時に歪み、あるいは溢れ、真っ直ぐな想いとなり
    交わされていく。

    ちょっとソープオペラのような風情もありつつ、
    でも、やってくるそれぞれの心情には
    実直さがクリアに残されておりました。

    想像:

    こちらは、電話での会話で綴られていく
    双子のシンクロ感覚の物語。
    リーディングの形式をとっているのですが
    こちらは、舞台を二つに分けて演じられる
    普通のお芝居の質感があって。

    とは言っても電話の会話が醸し出す
    二人の感覚の微妙なズレと
    その重なり方が絶妙で・・・。
    やりとりが二人の感覚をすっと重ねるのではなく
    まるで昔のラジオのチューニングのように
    じわぁっと合ってくるような感じが作り出す
    舞台の空気感というか色合いがあって。
    なんだろ、淡白に会話が作られていくのではなく
    観る側を閉じ込める粘度のようなものがあるのです。
    その常ならぬ感覚に閉じ込められてしまいました。

    *** ***

    私はワンバージョンしか観ることができなかったのですが、
    この作品、きっと役者によって、
    別物のような世界が生まれるのだろうなと思う。

    定番作品として、この作品の繰り返しの上演も
    面白いのではと思ったことでした。

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    2013/09/03 07:31

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