黄金のコメディフェスティバル2013 公演情報 黄金のコメディフェスティバル「黄金のコメディフェスティバル2013」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ウルトラ・ナンセンス・コメディ VS オーソドックス・コメディ
    「嬉しいチーム/犬と串、8割世界」

    ナンセンスな笑いは好物なのだが、今回の軍配はオーソドックスのほうに上げる。

    ネタバレBOX

    さきほど気づいたのだが、フェスの「観てきた」と当時に各劇団ごとの「観てきた」もある。
    これってどうすればいいかな? と思ったのだが、後々の資料的な意味合いを考えると、劇団を検索したときにも、公演の感想が出てきたほうがいいと思ったので、両方に書くことにした。
    内容はまったく同じ、になると思う。たぶん。


    <犬と串『クイニーアマン~言いたいだけ~』>★★★

    ウルトラ・ナンセンスというだけあって、なかなかいい感じだったのだが、最初に変な妖精のようなブリーフ男が出てくるまでが長い。
    そして、出てきてからも、パターンが同じすぎて長くて少し飽きた。

    「言いたいだけ」という突っ込みをする妖精的なモノは、ブリーフに変な被り物で、背中に羽根的なものを付けているのだが、なんかどこか別の劇団でこんな変な妖精的なものが出てきたらありそう風体で(ホントにどこかであったかもしれない)、既視感アリな印象がツライ。

    この妖精的なものは、出オチ的で一瞬は「おっ」と思ったが、その後に変化も展開もほとんどなく、少し退屈。ブリーフ脱ぐのもありがちでつまらない。

    たぶん、この造形は、イイカゲンで、テキトーな感じにしたかったのだと思うのだが、その「イイカゲンで、テキトーな感じ」についてもっと掘り下げて面白くして欲しかった。あまりにもすぐに思いつきそうな、イイカゲンで、テキトーな感じだったので。

    後半、演劇の神様が出て来てからは、もう少しは面白くなってきたのだが、それでも「言いたいだけ」を言っているはずの台詞のバラエティが乏しく、さらにその内容的に「なるほど」思うほどの納得度は低かったように思う。

    その「言いたいだけ」の台詞がキモであり、そこが面白くなっていかないとなかなか笑えない。それらしいシチュエーションもあるのだから。

    全体的にわさわさした感じで、それが計算ずくでなく単にわさわさしているだけにしか見えず、ナンセンス度の切り込みが足りなく、不発に感じてしまった。
    演劇的なアプローチの中にある「ナンセンス」にとどまっていて、あまりにも予定調和な内容だった。
    このフェスは、本公演とは違う、せっかくのチャンスなのだから、観客をぽかーんとさせるような、ウルトラ・ナンセンスにして欲しかった。

    つまり、「言いたいだけ」の台詞で観客に近づきつつ、とてつもないナンセンスで観客を突き放す、そんなバランスとセンスが欲しかったのだ。

    モラルさん登場は、すっごく笑ったけどね。

    あと、この「観てきた」は、「ナンセンス」っていいたいだけかもしれない。

    <8割世界『狸のムコ入り』>★★★★★

    オーソドックスな人情コメディ。
    きちんと笑わせるところで笑いを取っていく姿勢が見えた。

    「寿司屋ネタ」は、この前の犬と串から、抜群のトスが上がったために、ラッキーパンチのようにオープニングで観客を温めることができたのは、運が良かった。
    お陰で、その後も観客は笑いやすくなっていた。

    その後でも、犬と串の「演劇の神様」を持ってきて笑わせる貪欲さがいい。ラッキーな寿司屋ネタにさらに被せたことで、演劇の生(ナマ)さを感じさせる。

    8割世界は、後輩の犬と串に感謝しないと(笑)。

    ストーリーは、娘の彼氏が父親に結婚の承諾を得るという、ありふれたシチュエーションではある(PMCにもあったし)。しかし、単にそこ1本に絞り込むことなく、父親が結婚の承諾を得るときのことや、母親が幽霊が現れるということろなどを、細かく説明しないでうまく盛り込んできたところが、結果的に話を膨らませていった。

    つまり、父親が結婚の承諾を得た過去のシーンの再現や、幽霊の辻褄(例えば、なぜ彼だけに見えるのかなど)を見せなかった、くどくどと説明しなかったことで、話が散漫にならずに、ストーリーに膨らみを持たせた。

    8割世界のメンバーはいつもどおりに演じていて、いつもだったらハイテンション続きだと、ややうるさく、鬱陶しい感じさえすることもあるのだが、その鬱陶しさがストーリーとリンクしていて、うまく笑い結びついていた。

    そういう中で、ともすればテンションが高いことで、舞台全体が浮つくところをアンカー的にきちんとつなぎとめていた、父親役の凪沢渋次さんと母親役の伊藤摩美さんが好演。彼らも他のメンバーと同様に「観客を笑わせよう」と攻めてきて、テンションを高くしすぎていたら、これだけのいい感じの舞台は生まれなかったと思う。

    舞子さんの登場は、前回の作品で、死体役だった舞子さんの登場なのだとは思うのだが、それに何人が気がついたか。前回観ている人がどれだけいるのかということを考えると、そこの部分に乗っかるのはどうなんだろうか。

    ただ、残念なのは、タイムをかけたときの、「コメディですよ〜」「面白いシーンなんですよ〜」的な、ぬるいBGM。コメディとか笑いのシーンでこういうタイプの音楽が鳴ると笑いが一瞬で萎えてしまう。ダンスシーンや要所要所には音楽はあってもいいが、あえて、というか逆に変な使い方としてそういう雰囲気を盛り上げる的な音楽の使い方もあるとは思うが、使い方によっては自信のなさを露呈してしまったり、逆効果になってしまうということを肝に銘じておいたほうがいいと思う。

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    2013/08/20 07:42

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