砂漠の町のレイルボーイズ 公演情報 とくお組「砂漠の町のレイルボーイズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ファンタジー
    とっても素敵な職場でおしゃれな制服を着たレイルボーイズたち。
    こんな仲間とこんな仕事をして「町の人のために」なるなんていいなあ。
    洗練された舞台美術でささやかな夢を共に追い続ける心優しき男たちを描いた作品。
    これは自分の価値観を信じて守ろうとするファンタジーではないか。
    役者陣が皆達者で、間やタイミングも含めて台詞の応酬が楽しめる舞台。
    映像の使い方も面白い。

    ネタバレBOX

    会場に入るともう舞台上に2人の役者さんがいる。
    机やソファーなど、駅とは思えない心地よさげな家具がゆったりと置かれている。

    ここは「砂漠駅」、もう何年も乗降客が無く、したがって列車も止まらない。
    お客さんがいないので駅員は他の商売に精を出している。
    飲み物のサービス、クリーニングの受付、靴磨き、マッサージ、そして似顔絵描き。
    そこへ中央からエリートが監査にやって来たのでさあ大変!
    それでなくても廃駅の危機にあるのに、本来の業務でないことばかりやってるし…。
    レイルボーイズたちは監査を阻止しようとするが、駅存続の行方は…?

    ちょっとホテルのラウンジか会員制倶楽部と見紛うようなインテリア。
    豪華ではないが上質で使い込んだ心地よさがあって何とも快適な空間。
    深緑のパンツにキャメル色のブレザーという駅員は
    ホテルマンのように洗練されたいで立ち。
    ここに居場所を見つけた男たちは、廃駅を免れようと一致団結する。

    向上心とかのし上がろうとか、そういうものとは一切無縁なところで
    駅員たちは共通の目的を持ってここにいる。
    いつかお客さんが来て切符を買ったら、信号を赤にして列車を止める…。
    それを夢見て毎日を過ごしている。
    ある意味彼らの価値観に共鳴出来なければ退屈なストーリーなのだが
    私は、世間の価値観と決別する勇気を羨ましいような気持で観た。

    ただ特に他で生きづらさを感じているわけでもなさそうな人達までが
    このユルイ職場に固執する理由が欲しかったと思う。
    ここが好きというだけでない、何か私たちと重なる傷とか哀愁がちらりと垣間見られたら
    一気にレイルボーイズたちに共感して入り込んだかもしれない。
    印象が“ファンタジー”なのは、“私のリアル”との間に距離が生じたからだ。

    駅長さん(鈴木理学)やエリートさん(佐藤貴史)、てっちゃん(伊藤直人)、
    ふりょう(林雄大)の演技が印象的だが、全員の息が合った台詞の応酬は素晴らしい。
    舞台上でレコードに針を落とすと流れるBGMもセンスが良くて好き。
    とくお組の舞台を初めて観たが、客演も含めてこの役者陣には次も期待してしまう。

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    2013/08/10 22:20

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