満足度★★★★
爽やかな、軽さ
『小野寺の弟・小野寺の姉』良質で軽いコメディ。片桐はいり、向井理の姉弟に片桐仁の隣人、姉の同級生ユースケ・サンタマリアなんて非現実的な人々ながら劇中劇でまとめるオーソドックスなホームドラマ仕立が返って巧みに見える。猛暑の夏にぴったり。
副題「お茶と映画」にちなんで、映画観てお茶飲んで帰るカルチャーに芝居を巻き込みたいように見える。巧みに仕組まれているが細部は破綻してウェルメイドほど厚みは感じない。その軽さがテレビ的消費物だが、映画、ラジオを引き合いに演劇の濃さを敬遠しているかの意図を感じた。
ラジオ、映画を絡めて舞台で描くテレビ的演劇。手作り映画やラジオへの投稿という確かな手触りを求める姿はメディアに囲まれた私たちには共感しやすい。それはあるしかけをスペクタクルとして、演劇的な切り札として使用した演出家の、演劇に対する不安にも見えたが効果はいかに。