マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』 公演情報 TBS「マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ロマンスは金持ちの特権かもしれない。
    ロマンスは金持ちの特権かもしれない。カネがなければ,魅力的な男であっても仕方ない。ジェイン・オースティン『高慢と偏見』のことばには,真実がある。

    『ドリアン・グレイの肖像』におけるドリアンは,肖像と入れかわることで,自らの「美」の破壊を免れる。『サロメ』においては,ヨカナーンの首は,盾に載せられ牢から出て来る。サロメ自身は,兵士に盾で圧殺されている。

    『ドリアン・グレイの肖像』は,西欧において,抜群の知名度があるが,実在はしない絵画なのだろうか。ドリアンは,単に,女々しい美青年なのだろうか。永遠の若さと引き換えに,魂を売った男。ドリアンは,画像と入れかわりたいと願った。その願いは叶った。だが,醜くなった画像を見るに耐えられなくなる。永遠の美しさを持つことの意味とは何であろう。画像を自ら破壊すると,ドリアン自身も死んでしまう。作品の題は,どうして,『ドリアン・グレイ』でなく,『ドリアン・グレイの肖像』であらねばならなかったのだろうか。ドリアン自身は,心のどこかで,美しい芸術作品に自らがなってみたい衝動があったのかもしれない。

    『幸福な王子』『わがままな大男』という,童話にあって,オスカー・ワイルドは,センチメンタルな童話作家に過ぎない。しかし,実は,彼の本質は,そのようなメルヘンな世界を越えたところにあった。

    参考文献:オスカー・ワイルドにおける倒錯と逆説(角田信恵)

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    2013/08/01 20:36

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