満足度★★★
軽妙な会話から炙り出される本性
ワンシチュエーションの群像劇で視覚的にはほとんど変化がないものの、台詞のやりとりがユーモラスで、笑いながら引き込まれました。
近くで殺人事件が起きた為にパーキングエリアで足止めを食らった4つのグループが会話するうちに、様々な恋愛関係が明らかになって行き、嫉妬深さや空気の読めなさといった、それぞれの人物の悪い面が浮かび上がってくる話で、緊迫した場面でもコミカルなテイストが持続していて楽しかったです。
後半は殺人事件を巡るミステリー的な雰囲気となり、とりあえず一段落ついた後に、実は殺人事件の犯人であると判明する1組だけがパーキングエリアに残っているシーンとなり、冷静でありながら狂っている様子を叙情的に描いていましたが、そのシーンを引っ張り過ぎている様に感じられて、もっとサラッと終わっても良いかと思いました。
当人達は真面目に話しているつもりなのに、端から見ると滑稽な様子が自然に描かれていて、笑いの取り方に押し付けがましさがなくて良かったです。
シンプルな美術と照明が会話の面白さを引き立てていました。数分間の時間の経過を示す暗転の時にのみ流れる音楽がクラシックの曲で、妙に清々しいのも作品の雰囲気に合っていて楽しかったです。