白夜 公演情報 劇団演奏舞台「白夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    寺山 初期作品
     失踪した妻を訪ね歩く男を描いた寺山修司の若書きが今作のシナリオだが、後に更に深化する韜晦の芽やシュールな感覚への傾き、予めの喪失感など、終生の特質となった寺山の特徴が、その卵の状態や発芽した状態で、隋所に見られる点でも価値ある上演だ。没後30年の今年、寺山の世界は、あちこちで、再演されるであろうが、初期作品を扱った点でも面白い試みである。

    ネタバレBOX

     若書きとはいえ、メインプロットにサブプロットが輻輳されるような形で重層化しつつ陰影をつけ、深化し、微妙な対比を示しつつ、大団円のどんでん返しに持ち込む基本的な作劇術の骨組みは、矢張り大作家のものと言ってよい。同時に、彼ほどの才能ですら、若いな、と感じる部分があるのも事実。そのニュアンスをきちんと出した演技、演出は好感が持てる。4人の登場人物のうち女中以外は、Wキャストで演じられるが、自分が拝見したのはBバージョンだ。老人役の鈴木 浩二の演技が気に入った。天井ホールから、移ったGEKIBAの空間へは初めて足を運んだが、稠密で自分の好みではある。音響効果も密室的な空間によく響き、濃密な舞台になった。
     気になった点がいくつか、女中が、拭き掃除をする際、床を拭いた後で、椅子を拭くなど、作業手順に問題があるように思う。拭き掃除は通常、高い所から低い所へ作業の手が移って行くものだと思う。寺山のシナリオのト書きにそうあるなら仕方が無いが、これは、シナリオを当たって居ないので分からない。

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    2013/07/15 07:12

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