ミニスカーツ (チケット残り僅か!ご予約はお早めに!) 公演情報 INUTOKUSHI「ミニスカーツ (チケット残り僅か!ご予約はお早めに!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    展開の妙で笑わすべし
     長篇一本モノだった前回公演『左の頬』で犬と串デビューした私にとって同劇団の短編オムニバス公演は初めてだったが、アイデア一発勝負のネタが目立った。
     いや、そうしたタイプのネタが全てだったと言ってさえよく、公演全体を通じ、“展開の妙”で魅せる作品にほぼ出会えなかったのは残念な限り。
    (ネタバレBOXに続く)

    ネタバレBOX

     アイデア一発勝負の傾向は1つめの短編「新宿」にとりわけ色濃く表れていた。
     新宿で起きたホステス殺人事件の容疑者として浮上したラーメン店の店員やその同僚、さらにはガソリンスタンドに勤める容疑者の友人が刑事からの取り調べや質問に対し“仕事がら多用する常套句”しか返さないという話で、刑事が何を尋ねても、ラーメン屋の2人からは「バリ硬で~!」「券売機でお願いしま~す!」「粉落としで~!」などの言葉しか、GS店員からは「満タンで~!」などの言葉しか返ってこない。
     こうしたセリフが喉も潰れんばかりの絶叫調で発されることから喜劇的効果が生まれ、3人が何か言うたび場内に笑いが起こるのだが、話が進むにつれ笑いが薄くなっていったのは刑事の質問と3人の返答が特にリンクしておらず、ラーメン店店員ならびにGS店員の単なる“あるあるゼリフ集”に客が飽きたからだろう。
     こうした“あるあるゼリフ”は刑事の質問とリンクしない以上、ギャグとしてどれも等価で、客が途中で食傷するのは当然。
    「粉落としで~!」といったセリフが刑事の質問と偶然にもその都度リンクし、結果、容疑者の有罪が確定されるという“展開の妙”で魅せるお話だったら客も最後まで食いついたろうに…。
     店員のあるあるゼリフと刑事の質問をリンクさせるのは至難の業ではあろうが、「コメディの脚本家がそれに挑まずしてどうする!?」と私は言いたい。
     4つめの短編「キヲク」も最後の大オチに持ち込むためにのみストーリーが拵えられており、“アイデア一発勝負モノ”に分類される。主人公は悪の組織に記憶を書き換えられた会社員。オーラスで記憶のどの部分が書き換えられたが明かされ、「そこかいっ!」と大声でツッコみたくなる意想外の改竄点には笑わされたが、そこに至るまでの全シーンがオチに導くためのブリッジでしかなかったのは誠に残念。
     3つめの「OCEAN~失われし七つの秘宝~」と5つめ「老いのり」は“展開で魅せる作品”と言えなくもない。が、ともに、設定さえ決まってしまえばストーリーの7割がたは自ずから出来上がりそうな作品で、その意味において“ワンアイデアもの”と括られるべきだろう。
     5つの本ネタの合間合間に演じられた、本ネタよりもずっと短い3本の幕間劇も“ワンアイデアもの”だったが、ワンアイデアものは短ければ短いほど切れ味がよくなるのは言うまでもなく、こちらのほうが本ネタよりも楽しめたのは当然っちゃ当然。
     良いアイデアと役者の達者な演技が結びついて得難い可笑しみを生み出す「超ノリツッコミ」と「匠の技」はとりわけオススメ。

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    2013/07/08 03:08

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