月刊小玉久仁子 7月号 公演情報 ホチキス「月刊小玉久仁子 7月号」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    小玉久仁子ファンはゼッタイに観たほうがいい!
    って、ファンならそんなこと言われなくても観るよね。

    ネタバレBOX

    前作『クリエイタアズハイ』での、ゆるキャラ役が記憶に新しい、ホチキスの看板俳優の一人、小玉久仁子さんの一人芝居。

    以下タイトルは覚えてないので、そんな感じのものを書いた。

    <ウエディングドレスの女>
    照明が点くと、小玉久仁子さんがウエディングドレスで舞台にいる。
    ウエディングドレスなのに、結婚式の司会だと言う。
    なぜ彼女がウエディングドレスなのかは、徐々にわかってくる。
    コメディタッチの作品。

    幕切れは少しわかりにくかったのでは? 
    最後にダイナマイトを手にしていたということを、もっと印象づけたほうがよかったのではないだろうか。
    全体的には、やや想定内の展開だけど笑った。
    これはいい滑り出しだ。


    <似顔絵>
    警察の取調室。
    警察の制服姿の小玉久仁子さんが、連続放火魔の目撃者であり、放火魔が火を点けた家から女性を助けた男に、犯人の特徴を聞きながら似顔絵を描いている。
    スケッチブックを使った漫談風な部分があったので、てっきりそっち方向で責めていくと思っていると、その女性警官が、思わぬコトを口走り始める。

    なにしろ戯曲がうまい。途中からの展開に大笑い。
    それをグイグイ押してくる小玉さんのうまさもある。
    観客は、そのグイグイのストーリーに、グイグイと引きずり回される。


    <長い略歴>
    小玉久仁子さんが、まずは自分の名前から自己紹介を始めるのだが、観客が「???」となっている間に、気がつくと一気に江戸時代に飛んでいる。そしてあれよあれよという間に……。

    これはなかなかの物語。
    感動的であり、先の2本のコメディタッチのものとは異なる。

    わずか数十分で、女性がつなぐ命の歴史、血のつながり、を見せてくれた。
    手ぬぐいのような、ちょっとした小道具で、一瞬に登場人物を変える演出のスピーディさ、それを見事に演じ切っていた。細かいところが実に丁寧だ。

    ラストが、この芝居の最初の自己紹介に、ぴたりとつながる。
    その、つながる一瞬、自分の名前の漢字を読み上げる、タイミングやテンポ、すべてが完璧だったと思う。
    その一瞬は鳥肌モノ。


    <ウルトラ母>
    『クリエイタアズハイ』を彷彿とさせるキャラもの。
    怪獣退治をするスーパーマン的な母。

    この前に「母」(女性)でつなぐ、個人の歴史を見せたにもかかわらず、母がラストの大破壊。
    「ったく、もー」と思ってしまった(笑)。

    まあ、観客笑顔のラストで短さがいい。

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    芝居が始まる前(観客は、芝居が始まったと思っていた)に、小玉さんご本人からの、前説・注意事項があったのだが、芝居めいていて、なかなか楽しめた。

    また、各パートの間は、壁に文字を投射し、「連続・幕間小説」なるものが行われたが、芝居とはまた違う雰囲気の内容で、これも面白かった。
    内容のうまさで、芝居を壊すことなく、音楽でつなくよりもいいアイデアだと思った。こうした場合、よくあるのが音楽でつなぐ手法だが、音楽だと、その間に観客が素に戻ってしまうので(わざとそれを意図する舞台もあるだろうが)、そうならないように、うまく気持ちを維持させくれた。

    作・演は、ホチキスでも作・演をしている、米山和仁さん。
    彼は、小玉さんと高校時代からずっと一緒だったらしい。

    ホチキスでもずっと一緒なので、彼女のことを良く知っているのだろう。
    その米山さんが、小玉さんの良さを200%見せてくれたと言っていい。

    ホチキスの本公演での演技とは、少し違った角度でも小玉さんの力量を見せてくれて、小玉ファンでなくても十二分に満足のいく内容であったと思う。

    初日ということもあり、小玉さんは、やや緊張気味だったが、回を重ねることでどんどんよくなっていくだろう。
    しかし、小玉久仁子という女優さんは、やっぱりうまい人なんだな、と改めて感じさせてくれた企画だった。

    月刊と言いながらも毎月やるわけではなさそうだが(?どうなんだろうか?)、このレベルならば、次回も楽しみだ。
    次は一人芝居だけでなく、二人芝居なんていうのも面白いかもしれない。

    初日は、ダブルコールとなった。そんなことは小劇場ではなかなかない。しかも短編だし、一人芝居だし。
    それだけ面白かったということなのだ。

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    2013/07/06 07:33

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