満足度★★
『オセロ』は,少しおもしろかった。
『オセロ』を観て,遠いヴェネチア共和国での,瑣末な事件をいまさら鑑賞して,なんかおもしろいですか?ということになると,まあ,シェークスピアは偉大だし,いろいろな発見もある,と答えたい。しかし,いくつか見て退屈で,人物関係が複雑過ぎて,終わって良かった。と思うことがないわけでもない。しかし,『オセロ』は,おもしろいところもあった。それは,一般に言われるような嫉妬=ジャラシーの問題としておもしろかったわけではない。恋愛経験が貧困な人生を送って来たと私には,嫉妬って,さほどピンと来ない。要するにヤキモチだと思われるのだが,三角関係の恋愛なんかに全く陥ったことないので,理解できない世界だ。でも,『オセロ』は,少しおもしろかった。雇われ軍人が,出世してみたが,用がすんだらよそものだからと,居場所を失ったといった話にも見えるので,そちらの方がおもしろいのだ。これなら,自分の人生でも何度も体験している。いくらがんばってやっても,地元の人でないとかで,疎外されちゃうのは共感できるのだ。
また,『オセロ』に出て来る「イアーゴ」のような悪臭をはなつ人物にも私は何度もあっている。社会は,そういうツワモノに結構引っかき回される。一時的には,彼は,まちがいなく多数派の代表なのだ。でも,どこかゆがんでいるので,やがて自滅していく。彼が舞台から退場するまでが長過ぎて窒息しそうになるのは,現実でも同じだ。『ビョードロ~月色の森で抱きよせて~』を,ほかのみんながどう観ていたか,私は最初まったく理解できなかった。美しいものを,オペラでも鑑賞するようにただ見ている人も多かったらしい。また,作品理解も,何とおりもあり,ずばり何かを批判する社会派的な演劇とはちがい,ずいぶん人それぞれなんだな,と感じたものだ。
そこにいくと,葵と楓は,わかり易くていいな。一応,歌劇団なので,劇団なのだが,高踏な作劇法も取っていなくていい。そもそも,私の頭は,からっぽなので,あまりむつかしい5000円以上の高いチケットを予約して観ても,ムダかもしれない。ということで,そろそろひととおり観た気もするので,この分野も撤退しようかな。『マクベス』どうでしたか?よくわかんなかったけど,おもしろかったよ。でも今度は,ライオン・キングでも誘ってね。ストレスで円形脱毛症にならないものがいいね。あのね。オペラ『マクベス』観てから,美人ママが三人いると,あ!魔女だ,気をつけよう・・ってなちゃうんだよ。