MASTER IDOL 公演情報 u-you.company「MASTER IDOL」の観てきた!クチコミとコメント

  • 内面世界、社会との距離感…、高度な舞台



    多重人格がテーマである、極めて内面的な世界を「柊透子」という社会的な偶像とリンクさせることで描いた、“不気味カワイイ”作品だった。

    「柊透子」を演じるのは、14人の女優である。
    みな、本物の女性グループに所属しているのではないか、と思わせる「可愛さ」だった。
    しかし、それも「柊透子」の中に住み着く、多重人格の面々であるから日常会話を話していても「不気味さ」は離れない。


    「多重人格」と示せば、何か重苦しい舞台であることを想起させるだろう。
    たしかに 弾ける舞台ではなかったが、舞台を人の脳に仮定したら どうか。
    脚本家ー演出家なる「柊透子」がいて、その頭が生んだ「多重人格」が登場人物なのだ。
    もちろん、宗教劇団ピャー!!主宰の塚本氏のように、役者に合わせてキャラクターを設定する場合もありうる。
    一方、ドラマトゥルクの野村政之氏が指摘したのは、「元々、 演出家の発言権 は大きい」

    後者だと、脚本家ー演出家の脳内を具現化したものが舞台といえる。それも、もっぱら抽象舞台に限ったケースである。

    「多重人格」をテーマにするように見えて、実は「舞台」そのものの内面性を描いたのではないか。

    「柊透子」は、社会的に著名な女性グループのメンバーだ。
    内面世界を描くと同時に、社会との係わりも リンクさせる形で その複雑性を提起する。

    このことも、前出の野村氏が 早稲田大学の講義で次のように述べている。

    「社会を劇場で再構成する。そのことで再び社会に訴え掛ける」


    “社会性を持った劇場”は、劇作家の平田オリザ氏も 長年、唱える課題である。


    内面世界を描きつつ、社会との距離感を、一人の女性「柊透子」を読み解くなかで具現化した。
    これは、舞台、劇場の存在をダイレクトに読み解く行為でも ある。


    「善人」「悪人」についての考察も 主要なテーマだったが、次回とする。














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    2013/06/22 00:14

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