ココロに花を 公演情報 ピンク地底人「ココロに花を」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    擬音だけの作品も観てみたい
    このフェスティバルへの応募文章とチラシの文言を読んでから拝見したら、
    ストーリーが全然違っていて少し戸惑いました。
    携帯電話がいつ出てくるんだろうと待っていたんですが、
    最後まで出てこなかったですね(笑)。
    チラシのビジュアルから受ける印象と、作品の内容もかなり違いました。

    SFっぽい少し不思議なストーリーは、イキウメに似てるな~と思いました。
    (後で気づいたのですが、イキウメの『散歩する侵略者』を上演されてますね!)
    効果音を役者さんの声で表現するのが面白かったです。漂う雰囲気が独特で、
    登場人物たちのぎこちない会話にも味わいがありました。

    作・演出のピンク地底人3号さんは、戯曲で会話を書くことが初めてだったと伺いました。
    今までの戯曲は擬音とト書きだけだったそうで、とても興味深いです。
    擬音だけの作品も観てみたいと思いました。

    ネタバレBOX

    夢の中での患者たちの交流が、複数の絞殺未遂事件の犯人探しとどうかかわっていくのか、
    追うように観ていたのですが、話がなかなか進まなかったですね。
    「あの話はどうなったの?」という疑問への答えがないまま、間延びしているように
    感じることもありました。でも、はっきりとは見えないことや、
    ひっかかってモヤモヤすることから、色んな事を考えることができました。

    大学教授の殺人の自供が覆され、犯人探しは振り出しに戻ってしまいます。
    昏睡状態にある妻の病室に熱心に通う刑事が、実は妻の浮気を疑っていて、
    彼女の首に手を掛ける場面が挿入されました。
    誰が、何の目的で、愛する人を殺そうとしたのかが、どんどん曖昧になっていきます。
    そして、自分のことを見守ってくれるはず人々は昏睡状態にあり、
    意識があるのかないのかもわかりません。

    例えば私が1人で外国にいる時にパスポートを失くしてしまったら?
    自分を知る人が全くいない場所で、人間はどうやって自分が自分であることを
    他者に伝えられるのか。もしかすると自分でも自分が何者なのか、
    わからなくなってしまうんじゃないか…。
    人間の存在なんていつだって不確かで、不安定なのかもしれません。

    脚本は整理すればもっと面白くなると思いましたし、舞台美術はシンプルで見やすく、
    空間もちゃんと埋まっていました。衣裳も含め、全体のセンスがいいですね。
    こういう作品は古びないので、再演もできるのではないでしょうか。

    0

    2013/06/20 20:24

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大