隣人を大切にする「世捨て人」
世界で一番 嘘にまみれ、また純粋な「お見合い」が そこにあった。
気品ある雰囲気の中で語られるセリフには重みがある。
一個一個が、宮沢賢治であり、語るひと一人一人が、世捨て人である。
バラを象徴的な存在として映す、その切り取られた舞台に観客は固唾を飲む。
緊張しているのではない。
あまりの画に対し、現代を生きる私達は戸惑ってしまう。
「劇団たいしゅう小説家」は、いつだってそうだ。
そうした気品ある雰囲気のなか、馬鹿騒ぎをする。
魚を調理するのは、板前でもない限り疲れる作業だろう。
「愛」について描く舞台は、骨が散りばめられチクッと痛む場合がある。
しかし、貪りたくない。
あくまで、丁寧に身を取り出して 「愛」を堪能したいのだ。
「劇団たいしゅう小説家」は、若手が中心のトビウオである。
劇場を訪れる観客のため、自分達の手で身をほぐしてくれている。トビウオの中身は、そのネームに似合わず脂が 濃厚だ。
ナイフやフォークを使い ほぐしたのは、一体 誰か。
教えてほしい。