どらっぐ・ど・東京 公演情報 82-party「どらっぐ・ど・東京」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    痛み
     薬をやった状態で愛される、或いは、人に好かれることとビジネスで成功して、傲慢になり誰からも愛されないことと、そのどちらをも己一人で体験した男の話。斉藤役を演じた役者の演技が光る。

    ネタバレBOX

     斉藤の地所と持ちビルには、行き場の無いアーティスト、娼婦らが屯して暮らしてきたが、近隣の再開発計画でひと儲けを企む斉藤と不動産ディベロッパーらは、屯する連中の切り崩し、追いだしにあの手この手を使うが、行き所の無い現住者達は、中々出て行こうとしない。一方、斉藤に研究費援助を頼みに来た薬学研究者は、精神や肉体にダメージを与えず、快感だけを齎すドラッグを開発していた。一応の完成はみたものの、臨床が済んでいない。そこで、研究室を訪れた斉藤の珈琲に完成したばかりのドラッグを混入して臨床試験を始める。珈琲を飲み終えた斉藤は、やがて体温の急激な上昇と喉の渇き、悪寒を訴える。肉体的苦痛も伴ったもので、首には大きな瘤ができ、足も片足は萎えたようになってしまう。動作、反応の鈍化も認められる。斉藤は、そんな状態で街に出るが、偶々、馴染みの娼婦と会っていたディベロッパーに水をせがんだ為、暴行を受けてしまう。それを止めたのが、立ちのきを迫られていた住民であった。中でも、斉藤の手首の痣にハンカチを巻いてくれたとも子の優しさに、生まれて初めて斉藤は、人の心の温かさを見る。
     薬の効果が切れた後、斉藤は元の姿に戻ったが、とも子のことが忘れられず、終に、愛を告げる。然し、やり方が、傲慢でとも子からは相手にもされないどころか、完全に肘鉄を食わされてしまう。思い余った斉藤は、再度、研究者から薬を入手、服用して、とも子に会いに行くが、会って間もなく、薬剤による発作を起こし、事務所に逃げかえってしまう。だが、どうしてもとも子の温かさが忘れられず、使いをやって、最後に残っていた薬を入手、一度に総てを飲んで、とも子に会いに行くが、オーバードーズで死を迎える。

    0

    2013/06/07 12:44

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大