満足度★★★
洒落た音楽劇
ピアノと歌の演奏のパートと、芝居のパートが交互に連なる形式の音楽劇で、全体の物語の流れよりも、それぞれのシーンのシチュエーションを楽しむタイプの作品でした。
大西洋を横断する客船の中のレストランでの出来事が5つのエピソードとして演じられ、初めの3つはちょっとチグハグな会話のやりとりで、4つ目からサスペンス的な雰囲気となり、5つ目は船が沈没して島に辿り着いてからの様子が描かれていました。
物語としてはあまり盛り上がりもないまま終わるので、中途半端に感じました。
演劇としては物足りなさを感じましたが、H ZETT Mさんのピアノと湯澤幸一郎さんのカウンターテナーの歌声は聴き応えがあり、とても楽しめました。
調律のためにピアノを5度音程で弾いている音がそのまま歌の伴奏となっている場面は音楽的ユーモアがあって楽しかったです。
奥が一段上がっていて、下手にピアノ、上手に大きな舵のオブジェがあるだけのシンプルな舞台ですが、最後のシーンでそれらに布を掛けて岩に見せ、手前に青い布を広げて海岸に見せて島の景色に転換していたのが印象に残りました。
冒頭で緒川たまきさんが老婆を演じていて、いつもとは全然違う声色で話しているのが新鮮でした。