満足度★★★★
これは,すごいインパクトがあった。
劇場HOPEで,『恐怖が始まる』を観た。これは,すごいインパクトがあった。冒頭,登場人物による作品をイメージしたスローモーションが印象的だった。
作品は,ずっと味気ない夫の49日シーン。時間が進むと,そこに絡むように追憶の場面が出て来る。数に執着があって,それは,終始一貫して繰り返された。なぜか,20とか,100とかわけのわからない値が出て来る。健康診断の何かの数値かな・・・
そのように思っていると,どうやら一人死に,二人死んでいく。でも,会社が生き残って欲しいから,少しばかり労災の申請は遅らせよう。夫は,信念を貫いて,会社に殺されていく。それを,妻は,悲しくも見送ってしまったのだ。
公演終了後には,演出家によるトークショーがあった。この団体は,多くの社会派の演劇を手掛けていた。私は,内容を事前に調査せず飛び込んだ。最初,このまま延々何が起こるのだろうか。という,そのような苛立ちの中,あ!これは,あの話か。
それにしても,関係者は,事態解決に相当振り回されて来た。そして,その中で,一番言わないといけない核心には,誰も触れない。それは,現場取材した演出家の感触でもそうだった。まだ,あと一週間あるので,中野にあるオシャレな劇場で,放射能に侵されて死んでいったひとたちの苦悩の物語を観るといい。