恐怖が始まる 公演情報 ワンツーワークス「恐怖が始まる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    むずかしい、、、
    作品が難しいのではなくて、評価が難しいです。
    真面目な姿勢には共感しましたし、役者さんの熱演は凄いと感じましたが、
    舞台としては面白く感じませんでした。

    ネタバレBOX

    こういう社会的なテーマに向き合おうとする姿勢には、とても共感します。
    そして、それを演じる役者さんの熱量も凄いものがあったと思います。

    ただ、舞台として面白いとは感じませんでした。
    その点は内容としてひっかかった部分とも重なります。

    それは最終的に一つのメッセージを物語るために脚本ができ、演出がなされていたということです。
    勿論、単純なメッセージだけの作品だったとは思いません。多様な意見をそれぞれの役に語らせてはいます。ですが、最終的には何が言いたいのかというのが常に透けて見える。
    それこそが、批評性なのだと言われればそういう立場もあるとは思いますが、
    私にはその点は共感できませんでした。
    それは、演劇的にも、内容的にも。

    ひとつのメッセージに作品が収まってしまっては、
    まず演劇的な面白味が削がれる。次に解釈がとても狭いものになってしまう。
    そして、何より、世界はそんなに単純なのかと思ってしまう。

    私個人は、反原発支持です。ですので、この作品で語られていることなどは、本などで読んで知っています。国や東電などの暴力は本当に酷いと思っています。
    そういう権力を糾弾する在り方は必要だとも思っています。
    ですが、現実問題が抱えている複雑さは、そんな単純なものではない。
    だから、3月11日以降、様々な考え方・立場・置かれた状況の違いでいさかいが絶えない。
    この作品も、そのことをテーマにしているのだと思いますし、ある部分では、とても上手くそのギスギスした人間関係を描いているとは思いました。ですが、それでも最終的にはこの考え方が正しいという価値判断が事前に作り手の中にある作品だという気がしました。それでは、共感する人はうなずき、共感しない人は反発し(そして興味のない人は観にこない)という対立構造を助長することにしかならないと思います。

    利権が絡んだ国や財界の暴力構造を悪と断じるのに異議はありませんが、
    悪意のない人と人との間でも、正義と正義が対立している。それが、今回の原発問題のもう一方の最重要課題だと感じています。

    この作品では、様々な立場の意見は出てくるけれども、最終的にはどちらが正義だというのがはっきりとある。

    私が観たかったのは、むしろ、今までの自分の考え方とは違う立場の人にこそ強く共感してしまい、今まで自分が持っていた価値観やそれに基づく正義が揺らいでしまうようなものでした。どの立場の人でも揺らいでしまうような。

    ただ、これは作品観の違いなのかもしれませんね。
    メッセージがあった方がいいのか、ないほうがいいのかという、、、。

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    2013/05/26 06:06

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