全長50メートルガール 公演情報 踊れ場「全長50メートルガール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    捉えきれない個性に捉えられて
    舞台は、駄弁と、
    日々のありようと、
    いろんな寓意と、その場所にあるまじき喧騒に満ちていて・・・。
    それらの全てを受け取りきれたわけではないのですが、
    にもかかわらず
    いつしか、ロールたちの個性と、その重なりと、
    こっけいさと、ルーズでチープな田舎の閉塞感が、
    観る側にとっての既知の感覚となり、
    その光景に浸され、空気に巻き込まれて・・・。

    さらには、
    説明にもある如く、
    あるいはフライヤーの写真の如く・・・。
    女性達の醸し出す空気の中での、
    「あやかちゃん」の個性そのものの、
    その捉えきれきれなさに、
    しっかりと捉えられてしまいました。

    初日で、
    硬さや滞りのようなものを若干感じた刹那もありましたが、
    そこも含めて舞台の味になりつつ、
    この役者達なら、
    きっと、回を重ねるごとに、
    いろいろに更なるメリハリが生まれる感じもして。

    作り手の描き出すものの、
    肌触りにしっかりとつかまってしまいました。

    アフターイベントは、本編と対照的な
    瞬発力をもったくっきりとした面白さで、
    本編のテイストをも際立たせて。
    こちらも良いできばえでした。

    ネタバレBOX

    毎夜、ファミレスに集う女性たち、
    フライドポテトとドリンクバーで
    時間を過ごす風情がよく作りこまれていて・・・。

    最初はなんだこれはと思いながら観ているのですが、
    役者達やウェイトレスの醸す空気に
    気が付けば女性たちそれぞれの個性や、
    そのファミレスを居場所にする感覚が
    いろいろに可笑しく、
    とてもなじみ深いもののように感じられて・・・。

    そのなかに、刺さりこんでいく「あやかちゃん」の個性も、
    舞台上に作りこまれた彼女の雰囲気をいつしか踏み越えて、
    観る側が自ら抱く感覚とともにさらに翼を広げ広がっていく。

    初日ということで、舞台には若干の硬さもあったように思うし、
    舞台から伝わってくるトーンのようなものが、
    誰の感覚からやってくるものなのかが
    ちょっとあいまいに感じられる部分もありはしたのですが
    よしんばそうであっても、、
    その明確にとらえきれないことへの浸され感や実存感は、
    ロール達の、日々の駄弁の時間の質感と
    一人の女性の印象をしっかりと導いてくれる。

    女性をさらっていくドラゴンや皿しか登場しないカッパなどが担うものを
    田舎町の風情にかさねて
    なんとなく想像しつつも、
    確信を持ってこの寓意とフォーカスを定めることは
    できなかったのですが、
    でも、明確に定義されることなく、
    定まりきれないそれらの見え方は、
    ちょっとおみそ的な存在の女性の
    感覚そのものでもあるようにも思えて。

    アフターイベントの二人芝居が、
    逆に、実にわかりやすい設定での爆笑譚だっただけに、
    一層、本編の女性の想いの捉えきれなさが際立ち、
    でも、だからこそ、
    観る側の手の中に納まりきれないような
    女性の個性の実存感が
    その収まりきれなさを含めた印象として
    深くしなやかに残ったことでした。

    「あやかちゃん」にしても、
    他の女性達やファミレスの店員をを背負う女優たちにしても、
    過分にならない魅力や、弱さや、強さや、駄目さを
    刹那ごとに、したたかなバランスで織り上げていることに感心。

    いろいろに可笑しくて、
    でも、それだけではないどこか繊細で、あからさまで、
    ルーズな閉塞感を観る側の記憶に残す、
    作り手の舞台の編み方や色の作り方に
    あらためて感心したことでした。

    それにしても、作り手が描きだそうとしている
    田舎町の女性たちにとってのドラゴンってなんなのだろうか・・・。

    たとえば・・・pregnancy??

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    2013/05/22 16:01

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