満足度★★★★★
刈馬演劇設計社「クラッシュ・ワルツ」観ました
刈馬カオスさんによる舞台は、昨年の劇王・塚田奏一郎名義「シュガーレスガール」、本公演ではテラ・インコグニタ「十人姉妹」以来です。
デス電所やiakuを思わせる、緻密に計算して人物たち(二組の夫婦+女性)の世間体を脱がし、その人格や事情を少しずつむき出しにしていく展開に、観客の集中の度合いも高まる…。それぞれが有機的に他者の事情を暴いていく。欲望、依存、加虐、許し…。
かなり陰惨な光景が出てきながら、そこからあのラストに持って行く、刈馬さんならではの叙情力…。
それぞれが今までもこれからも抱える人生の時間を考えさせられる、濃密な役ばかり(特に、展開の軸となる、ある夫婦の子供を交通事故で死なせてしまった女性・チハル役の切り替えが大変)。
全員が振り幅大きく醜さも美しさも持った、でも当たり前の人間。
公演は、この新作と7年前の作品の再演が続けて観られる興味深い構成でした。そこにも時間の流れが…(笑)
刈馬さんは、この「クラッシュ・ワルツ」で旅公演ができないかと検討しているそうです(とくに仙台、北九州に関心高い)。
どこか興味を持って、声がかかるといいなあ。ぜひ多くの人に観てほしいです。