『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月! 公演情報 劇団チョコレートケーキ「『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    意外な演出、人間らしい会話が欲しい
    『あの記憶の記録』『熱狂』の順で拝見しました。
    両方とも客席は男性が多くて集中力が高かったです。
    『あの記憶~』では泣いてる人がいっぱいいらしゃいました。
    劇団の世界観が好きな人がいて、固定のファンがついているんですね。
    『熱狂』はお客さんの年齢層が高く、有名劇評家も何人かいらしていました。

    ネタバレBOX

    ○『あの記憶の記録』
    学校で上演される教育演劇のような印象を受けました。
    真剣に興味を持って、よく調べて書かれている脚本だと思いましたが、
    「昔こういうことがあった」という知識を教えてもらう状態で、
    そこからもう一歩何かを受け取れるまでは私はたどりつけずでした。

    例えば野田秀樹さんも歴史的事実をモチーフに作劇されますが、
    そのままズバリではなく違う形で見せてくれます。
    私がストレートなものを素直に受けとめられないのは、
    単に好みの問題か、色々なものを観すぎてるせいかもしれません。
     
    現在のイスラエルのことを描けるのは、演劇ならではですね。
    変わっていく世界情勢、現実を伝えるのは、上映まで時間がかかる映画よりも、
    演劇の方が有利で即効性があると思います。


    ○『熱狂』
    ナチス内の人間関係を描く会話劇で、俳優は熱演。
    制服、軍服をうまく着こなしていました。
    “男のハードボイルド”の印象が強く、男性が好きそうな作品ですよね。
    『熱狂』は一色のトーンで押していく直球勝負のパワーがあり、
    『あの記憶~』よりも力強かったように思います。
    ヒットラーの雑用係だったビルクナーが『あの記憶~』にも登場し、
    2本がリンクする仕組みでした。
    戦後の歴史が見えてくるので、両方とも観た方がいいと思いました。

    広報のゲッペルスが「美しさ」を重視したのに頷けます。
    民衆はそろいの制服やポーズ(敬礼、腕章など)に弱いんですよね。
    集団の熱を利用して、考える隙を与えず、雰囲気で乗せていく…
    プロパガンダで民衆を扇動するのはナチスだけが特殊なのではなく、
    日本でも起こり得ることだと思います。

    ヒットラーが登場するお芝居といえば、
    昨年の三谷幸喜さんの『国民の映画』がすぐに思い浮かびます。
    三谷さんの手法は、歴史上の人物を私たちと同じ人間として見せるところ。

    でも『熱狂』の登場人物のセリフは事実や解説など、
    意味や意図がしっかりあるものばかりで、
    心情的なものはほとんど語られないんですよね。
    人間臭さが感じられる日常会話がなく、
    劇作家の古川健さんは歴史にご興味があるのだろうと思いました。

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    2013/05/10 15:04

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