からっぽの地球儀 公演情報 9-States「からっぽの地球儀」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    フェアであること
     最高裁など上級審へ行けば行くほど、この「国」の判断は歪む。これは、本来、下級に当たるはずの日米地位協定が、運用上、日本国憲法の上位に位置しているからである。情報公開法も笊。被植民国家、日本はヤプーの住む国であるというマゾヒスティックな茶番を見る時、この作品の提示したフェアであるか否かは重い問い掛けになり得る。
     先輩弁護士、伊藤役の小池 首領の演技が特に気に入った。

    ネタバレBOX

     同じ弁護士事務所に所属していた若手弁護士2人のうち、1人は自殺、1人は詐欺事件を起こした。この若手らは大学時代から旧知の間であるが、互いの相似性を表面的には嫌っている。然し、内心互いを認め合っているのである。詐欺をやった弁護士も、弁論の腕は中々のもので収入も多かった。然るに、彼は事務所を辞めたのみならず、3千万円以上を出資して1千万の詐欺事件を働く。逮捕され裁判に掛けられるが、「自分がやった」と白状したものの動機その他一切に黙秘を続けている。弁護を担当したのは、事務所の先輩弁護士であった。彼は事件の背景に何かあると睨み、被告を弁護するが、種々の捜査にも決定的な証拠は上がらず、事件は被告不利のまま結審を迎えるかい思えたが。
     ここで演劇的テクニックを用いたドンデン返しがある。無論、伏線は敷かれていた。裁判そのものの起こる場の主体が誰であるのか? 換言すれば誰かに“夢見られた”情況が裁判というものなのではないか? とか正義とは何か? などハッキリしているはずのもの・ことが、実は曖昧であることが、通奏低音のように提示され続けていたのである。サブプロットはとってつけたような内容も含み、不備を感じたが、これも夢のような雰囲気を表す為ととれないことは無い。とどのつまり、このどんでん返しで一挙に核心に迫った点は褒めておくべきだろう。
     

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    2013/05/02 14:16

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