筋肉少女【残すは7月in→dependent theatre 1st!】】 公演情報 石原正一ショー「筋肉少女【残すは7月in→dependent theatre 1st!】】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    粗いっていえば粗いけれど
    その粗さから生まれる空気や、踏み出しや、熱があって。
    それらに裏打ちされているから、
    醸し出されるおかしさが観る側を外さない。

    初日の硬さのようなものからの粗さも若干はありましたが、
    それとは別に、しっかりと役者たちの力量で組まれた
    恣意的で絶妙な粗さが観る側をがっつりと惹きつけて、、
    役者たち自身をしっかりと舞台に映えさせていました。

    ほんと、面白かったです。

    ネタバレBOX

    ベタといえばベタだし、
    安易といえば安易な物語の顛末だとはおもうのです。
    でも、役者たちには、
    ドラマだけを追わせる緻密さに縛られず、
    それぞれのベクトルで観る側を舞台に引っ張り込む
    さまざまな力があって。

    観る側にいらんことを考えさせないというか、
    こういう物語の展開だからこそ、
    映える役者達の魅力にあれよとはまる。
    舞台に置かれる作り手一流のメリハリが
    実にしたたか。
    牛丼屋のミザンスの作り方とか役者たちの細かい動きに舌を巻く。
    さりげなくクラシックバレエの引き出しをつかったり、
    切れのある側転が飛び出したり・・
    力技で描く格闘シーンにも
    観る側を巻き込むに十分ないろんなユニークさに満ちていて。

    ダンスなども、役者さんが為すクオリティではあるけれど、
    そこには舞台の流れにしっかりとしたふくらみを作りだす力があって。
    シーンごとのトーンや、会話や所作に、
    よしんば多少チープな部分がであったとしても、
    それをチープなままで投げ出さない、
    役者たちの表現のふくよかさや、ここ一番での力が裏打ちされていて、
    半歩の踏み出し感とともに笑いがきっちりと訪れる。

    それぞれの役者さんの表現する色が、
    束ねられていても均一化することなく、観る側に伝わってくるのも良い。
    けっこう無茶をしているなぁと思わせる部分もあるけれど、
    その無茶に完成度があって、観る側を引かせるのではなく、
    舞台の突き抜け感に至って
    観る側を前のめりにさせてくれる。
    表現自体のべたな斬新さが、
    とても味わい深く感じられ、
    役者さんたちの、他の舞台での役者力とは一味異なるであろう、
    マジで遊び心を解き放ったような、あるいは体を張ったお芝居が
    舞台にコメディとしての質量をしたたかに作り出していくのです。

    なんだろ、舞台をあからさまな精緻さや完成度に塗りこめず、
    恣意的にアラを作ることで、
    舞台に空気がとおり、火が付いて、
    熱を生み出していくような感じがあって。
    観終わって、役者達それぞれの個性が
    くっきりと印象に残る。
    この語り口だからこそ観る側が受け取りうる
    果実のようなものが間違いなくあって、
    たっぷり楽しませていただきました。

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    2013/05/02 00:07

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