ウェルカム・ホーム 公演情報 天才劇団バカバッカ「ウェルカム・ホーム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    キャラがそれぞれに埋もれていないので
    出演者の人数に少々びびりましたが、
    一人ずつの役者がおしこめられることなく、
    ロールに落とし込まれよく描き出されておりました。

    ネタバレBOX

    一時はやった貧乏大家族の話を借景に、
    テレビの世界の裏表や、外国人就労者から老人問題までも
    物語に紡ぎこんで・・・。

    でも、それらがカオスに陥らせない、
    舞台の研ぎ方があって・・・。
    観る側を醒めさせたり飽きさせたりせずに
    物語の顛末に繋ぎとめていきます。

    一番感じたのは、ロールたちが
    物語に切り捨てられることなく、舞台にしっかりと刺さっていること。
    特に家族それぞれを描き分け切り出す切先があって
    役者たちも、実直にそれぞれのキャラクターを
    自らが背負うシーンの主人公の如く
    よく支えていて。
    この描き方があれば、
    家族をもう数人増やしてもやっていけそうな気がするくらい。

    また、テレビ局や家族を取り巻く人物たちにも、
    物語の背景を徒にステレオタイプにしない個性があって・・・。
    舞台をカオスに落とすことなく、
    世界をしなやかに膨らませていきます。

    過去と今の時間の描き方も、あいまいにしていないし、
    兄弟たちにしても、名前の工夫や演じ方が
    くっきりしていて、
    分かりやすさに対する配慮がいろんな部分に行き届いている。
    その上で、為されるいろんな誇張や踏み外し方が
    裏地が作られているので、よく生きるのです。

    また、ショー的なシーンもよく作りこまれていて
    ちょっとくせになるようなキャッチーな感じもあって。
    へたうまっていうんですかねぇ、
    その表層にベタだなぁと思いつつも、
    内側は決してルーズではなく、細かくしっかりと組み上げられていて、
    緻密に味付けされたベタさだからこそ、
    うまうまと乗せられてしまうことが楽しくもあって・・・、
    なんだろ、日本人的に心地良いエンタティメントのテイストに
    どっぷりと浸らせて頂いた感じ。

    正直なところ、舞台のミザンスや
    シーン間の密度などもところどころバラついているし、
    いろいろに冗長な部分もあるし、
    全てがきっちりと研ぎあげられた舞台というわけでもないのですが、
    むしろ、作り手のストラテジーとして
    末端に至るまであえて作りこむことをせず、
    要所をきゅっと締めてまとめあげた感があって。

    作り手の術に乗せられ
    なにか、知らず知らずのうちに、
    舞台の世界に取り込まれて、楽しんでしまいました。

    余談ですが、アイドルグループのブルーのキャラクターが
    個人的に妙に引っかかって(褒め言葉)。
    その踏み出しの中に、
    どこか、素敵な温度の低さがしたたかに作りこまれていて、
    それが物語にすっと別の感覚を差し込んでくれる。
    そんなに前にでるロールというわけでもないのですが、
    何とも言えない本当に良い味わいがあって、
    やたらと目を惹かれてしまいました









    0

    2013/04/28 08:27

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大