ブルーノ・シュルツ『マネキン 人形論』 公演情報 シアターX(カイ)「ブルーノ・シュルツ『マネキン 人形論』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    シンプルだけれど・・
    非常に示唆に富んだ作品。

    エイゼンシュタインくらいは観ておいた方が良いかも。

    きょうは初日だったけど、
    回を重ねるごとにもっと良くなるかもしれない、舞台も観客も。

    ポーランド語だけじゃなく
    最後の方はロシア語やドイツ語も入ってくる。

    そのことが余計にポーランド語を引き立てている気がした。

    アフタートークを聴いても、
    劇団のひとりひとりがポーランド語をはっきりと発音しているのが
    とても印象的だった。

    言葉を非常に愛しているように感じる。

    ポーランドの素晴らしさが詰まった舞台と言って良いと思う。

    出来たら一度観た後で予習してもう1~2回観た方が良いかも。

    自分もそうしまふ・・♨(苦笑

    土曜追記----

    アフタートークでポレシュへの反発があってようやくハッキリと分かった。

    この舞台は、きわめて「ポーランド語的」な舞台だと。

    ポレシュを写し鏡にしてようやく姿が見えてきた気がした。

    ポーランド語は学ぶ価値のある言語で、シュルツは世界で最高の作家のひとりであるという話もあった。

    自分もその話には大いに共感するところがあった。

    ドイツや日本よりは田舎かもしれないけれど、
    平原のただなかのポーランド語からは、
    ちょっとした文章のなかにも
    平坦さとは程遠い、奥深い森を思わせる迷宮のような言語の高層棟が見える。

    ゴンブロヴィッチのようなパラドキシカルな天才と、
    シュルツのように死を予感しつつ生への渇望を詠い上げる者とを、
    友情で結びつける何かがある
    (シュルツはユダヤ系だがユダヤ的というよりは遥かにポーランド的だ。
    このことだけを取ってみても、ポーランドが様々な要素を
    溶融しないままとり込める多様性をもった
    「世界的な」文化であることが読み取れると思う

    ドイツ語やロシア語や中国語なんかよりは遥かに金にならない言語だけれど、
    文化的には極めて豊かな言語であると思う(一応フランス語や英語より、とも言っておこう・・ペルシア語だと分からない気もするけど・・

    日曜もまた観てみたいな・・。

    ネタバレBOX

    メトロポリス(ラング)、ポチョムキン(エイゼンシュタイン)、アンダルシアの犬。

    あるいはヘーゲル、アインシュタイン、グルジェフなど。

    カバラにも触れられる。

    動きは、人形や舞踏や能の動きなどを取り入れたようでもある。

    亡きカントルを軸とした
    惑星系(こういう表現の仕方を見るとなんとなくグルジェフの名前が出てくるのもちょっと納得)
    の一つでもあるようだが詳しくは知らない(苦笑

    ゴーレムの名前が出てくると、
    ユダヤ人科学者が大挙して働いて盛り立てた
    ドイツ、アメリカ、ロシアなどの列強のことなのかななどと思ったりもしたり。

    中身が空だが、
    エネルギー(E=mc^2)で動く(だっけ?
    実在する殻。

    全体主義、ファシズムとは、
    最大限のガラクタ(粗悪品)に最大の価値を置く(最優先とする)
    ものだとするならば、
    政府の主張に愛国心の名の下に盲目的に従うことを美徳とする風潮は、
    ヒトラーのような明確な独裁者、偶像が存在しないだけで、
    ファシズム的と言って良いかもしれない。

    (分かりにくいけど、
    メトロポリスの市民のように盲目的に一つの流れに従って動く集団というのは
    勇敢だが容赦のないロシア兵やドイツ兵を思い出してしまう。
    軍隊的な強固な集団と言うのは、
    間違った理念に基づいて動く限りにおいては
    人間的にはガラクタの寄せ集めだということが言いたかったのではないのかな・・)

    海外の先鋭的な作品を上演する劇団は
    既に大体、反グローバリズム的な香りを発していると言っても良いかもしれない。

    この劇団は、
    そうした流れを逆に20世紀初頭までさかのぼって
    懐かしく甘いアコーディオンの響きにのせて
    表現するところが素晴らしい。

    自分が大好きな部類の舞台作品です(笑

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    2013/04/26 00:18

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